自民党的な、余りに自民党的な「経済財政会議」
3年半ぶりとなる経済財政諮問会議が開かれた。官僚色を排して現役の社長たちや小泉構造改革を推進した竹中氏を登用するなど、民主党時代の成長戦略室とは色合いの異なるものだ。
経済財政諮問会議に民間企業経営者を多く登用するのは即効性のある政策を打ち出すには有効かもしれない。しかし最大の景気回復の即効薬は超円高対策だ、というのは周知の事実だ。なにも企業経営者を集める必要はなかった。政権と委員になった経営者たちの企業との「癒着関係」に目を光らさなければならない。
企業経営者の顔ぶれをみると多くは中国へ企業進出している「親中派」の方々だ。彼らが唱える経済政策もおおよそ想像できる。対韓、対中外交を穏便に済ませるようにと政策提言するだろう。しかし、それは目先の平穏を得るかもしれないが、火種は永遠に先送りされ、半歩ずつ日本に譲歩を迫るものでしかない。
現在この国の経済活動を牽引している企業が将来も牽引し続けるとは限らない。たとえば電力各社が再エネ投資減税政策に賛成するはずがないのと同じ構造だ。現在大きな企業に対抗する分野から進出する企業に対して、経済財政諮問会議が好意的な政策提言するだろうか。電力各社はこの国の太陽光発電助成措置をブッ潰した実績を持つ。そのために世界のトップリーダーだった太陽光発電製造界がドイツなどの後塵を拝するようになってしまった。
大企業の社長たちと政府の諮問会議がコミットするのは少なからず問題を孕むと予測すべきだ。現在の経済界は歓迎するだろうが、未来の経済界は必ずしも歓迎しないだろう。しかも竹中氏まで登用したのはどのような意図からだろうか。
竹中氏は米国の行政改革要望をことごとく実行した人物だ。グローバル化という掛け声とともに、グローバル化が避けられない世界の潮流だとマスメディアと一緒になって国民を誤魔化し、派遣業法などを大幅に緩和して非正規社員の爆発的増大の種を蒔いた。金融債権と称して公的資金をジャブジャブと投入した銀行を捨て値同然で外資に売却したりした。そうした実績を持つ新自由主義・市場万能主義を信奉する人物だ。安倍氏の政策運営に懸念を抱かざるを得ない。
そして麻生財務大臣は赤字国債発行44兆円枠に拘らない、と補正予算12兆円に次ぐ大盤振る舞いを宣言した。あれほど民主党の予算を「バラ撒きだ」と批判していた自公政権は民主党が足元にも及ばない財政破壊政権だ。
何が何でも4月から7月期にかけてインフレにして、来年4月の消費税8㌫を実行するつもりのようだ。たとえ悪性インフレであろうとなかろうと、安倍政権は構わないと判断したようだ。それが国民生活に資するのだろうか、暴走し始めた自公政権の財政・金融政策から目が離せない。なにしろ安倍氏が握っているハンドルは日本の国家と国民を乗せた車なのだから。