公営企業の民営化がすべて正しいとは限らない。

 大阪市営地下鉄の民営化を巡り橋下市長が苦慮しているようだが、民営化がすべて正しいと限らないのは高速道路会社へ民営化された高速道路で笹子トンネル天井板崩落事故により利用者9名の尊い命が失われたことからも明らかだ。


 民間企業には企業利益の実現という重い十字架が課される。企業利益を実現し得ない経営者は失格者の烙印とともに企業を追われることになる。だから高速道路会社では維持・管理費を道路公団時代の1/3に削減していたという。当然のように天井板を吊り下げるボルトの打音検査はなされなくなり、崩落しなかった下り線でも検査結果千箇所を超える不具合が発見されている。


 


 社会インフラは国民経済や国民生活を支えるために安全・確実が必須条件となっている。指摘するまでもなく道路や鉄道に信頼性がなければ怖くて利用出来なくなる。電気や電信も途切れてはならないし、いつでも安全・確実に利用できる状態でなければならない。


 大阪市営地下鉄は2005年に黒字化して以来、一時期は五十数億円に達していた累積赤字も解消して御堂筋線のみならず他の数路線までも黒字化している。その民営化が叫ばれたのは赤字が常態化していた当時に、経済界などが経営改善の手法として民営化を提言したのが端緒のようだ。


 


 しかし大阪市営地下鉄は黒字経営している。なにも民営化すべき必然性はない。それを何が何でも民営化すべきというのは説得力に欠ける。


 かつて市場原理主義者が民営化礼賛論を繰り広げて郵貯のカンポの宿を市場価格と大きく乖離した値段で売り払い、民営化議論の委員だった人物が経営する企業が転売して大儲けした事実が露見したことがあった。だが、誰一人として罪に問われなかった。


 


 民営化するには民営化しなければならない重要な動機が存在しなければならない。「なんとなく民営化が善」という議論には乗れない。笹子トンネル事故に学ばない者は市場原理主義の傾倒者もしくは信仰者でしかない。


 公営企業はたとえ赤字でも運営を維持するのが地域にとって必要とされるものもある。安易な民営化議論はその裏に巨悪が潜んでいる場合が無きにしも非ず、と眉に唾して議論を検証しなければならない。



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