アベノミクスに景気のブレーキはあるが、明確なアクセルはない。

  安倍政権最初の経済政策の大枠が決まったようだ。税制大綱の確定を受けて閣議決定し、最初の臨時国会へ提出される運びだという。


 これまでは「やるぞ」という決意とその準備だけで円安株高を引き出してきた。これからはその方策と実態が問われることになる。


 


 しかし税制大綱を見る限りでは一般国民に対しては厳しいメニューばかりが並ぶ。その最たるものが来年四月から実施予定の軽減措置のない8㌫への消費税増税だ。そのためには国民経済が痛もうが、消費増税導入条件の「デフレ経済からの脱却」のために何が何でも2㌫インフレを達成するという。まったく主客転倒した議論だが、この国のマスメディアは痴呆症に陥ったかのように呆然として批判らしい批判をしない。


 


 まず政府が取り組むべき政策は経済成長を促して景気回復のエンジンを力強く稼動させるのが先決のはずだ。単に「気」頼りの円安株高による幻想のような雰囲気だけではなく、実体経済から国民が体感できる景気回復して、国民への分配が増えなければ本物のデフレ経済脱却とはいえない。しかし現在安倍政権がやっているのは単にインフレを起こそうとしているだけだ。


 安倍政権の御用経済学者までも景気回復は3年程度金融緩和から遅れると、後から景気が付いてくるかのような説明をしているが、決してそのようなことはない。なぜなら日本はここ十年以上も日本史上初の低金利が持続しているが、それにより景気が劇的に回復していない。金融緩和により実体経済にカネが流れて経済拡大局面になっていない。


 


 海外へ移転した工場や企業など、日系企業の総額をカウントすれば日本経済はたゆまざる拡大を続けていることになる。しかし、海外投資し移転した経済は日本国内経済の下支えに殆ど役に立っていない。それどころか日本に失業を逆輸入する効果すらもたらしている。


 それなのに海外の人件費が安いから移転させるべきだ、と経営者を唆す経済評論家がこの国では持て囃され跋扈して来た。それにより国内で深刻な就職難が起きていても全く素知らぬ顔をしてきた。


 


 安倍政権は景気回復のエンジンを国民に示すべきだ。そのためには海外へ移転した企業資本の国内逆流を促進する投資減税を大胆に実施し、かつてあった特別償却を創設すべきだ。そして人件費として分配しない企業には罰則的超過法人税を課すべきだ。


 国民所得が増えない限り景気回復はありえない。そのためには企業による国内投資が不可欠だ。チマチマとした「規制緩和」などで劇的な効果は見込めないし、規制緩和が結局この国に何をもたらしたかは、たとえば規制緩和により雨後の筍のように出来た「貸切バス会社」の実態を見れば明らかだ。たとえば規制緩和により乱立した「派遣会社」に使い捨てられる派遣社員を見れば明らかだ。その悪夢の再来を安倍政権は目論んでいるとすればデフレ経済からの脱却ではなく、デフレ化の促進を行おうとしているかのようだ。


 


 この春先にはアベノミクスの実態が国民の前に明らかになるだろう。自民党政権的な公共事業が花盛りの花見に国民は寒々とした感を深くすることになるだろう。


 深刻なのはアベノミクスに対抗すべき政治勢力をこの国は失ってしまっていることだ。いよいよ国民は「消費増税」の断崖から突き落とされようとしている。3㌫増税がどれほどのものか、橋本政権下の3㌫から5㌫へ増税された当時よりも深刻な景気後退をもたらすのは明らかだ。それでも景気回復して経済が力強く拡大する、というのだろうか。具体的な論争をそろそろマスメディアは始める義務がある。それともアベノミクスの提灯持ちに成り下がってしまったのか。



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