安倍政権の緊急経済対策は活力をもたらすのか。

  総額20兆円規模の緊急経済対策は更に金持ち減税の側面を持っている。孫に対して祖父母から教育費などを一括して負担した場合なども含めて1000万円程度まで贈与税を課さない、というものだ。


 裕福でない祖父母を持つ孫には一切関係のない話で、国の全所帯で約23%が預貯金ゼロだ。そうした世帯では孫に碌な教育資金が祖父母から贈与されず、一層肩身の狭い思いをさせられるに違いない。それで敬老精神が培われるだろうか。


 


 20兆円のうち国土強靭化と称する公共事業に5兆円も支出されるという。そのために人手不足を懸念する声が上がっているが、隧道や橋梁の維持・管理に素人がすぐに役立つものではない。隧道や橋梁の保守点検にはそれなりに熟練した人たちの目と勘が必要で、どのようにして熟練した人たちを集めるというのか。


 耐震工事に関しても同様で、新築工事と違って個別的な事案に対応処置できる人たちを確保するのは困難だという声が上がっている。さらに材料の取り合いが始まり、現場では値上がりが先行しているという。


 


 威勢の良い掛け声が景気対策には必要だが、枯松葉の炎であってはならない。パッと着火して激しく燃え上がるが、火持ちはしない。焚き付けはあくまでも焚きつけでしかない。パッと燃え上がった炎をいかにして持続させ、一般企業の投資意欲への呼び水となって人員確保のために給与や手当の引き上げに寄与し、経済規模の拡大に繋がらなければ一過性で終わり膨大な赤字国債の山を築くだけになりかねない。


 


 すでに20兆円の緊急経済対策は立てたし、補正予算で12兆円の手当をするとラッパを吹いている。しかし後2ヶ月半の今年度中に消化できるとは到底思えない。実際に緊急対策費の大半を消化するのは地方自治体だ。平成の大合併により地方自治体の足腰は相当弱っている。しかも小泉政権以来公共事業費の削減により地方の土建業者は激減している。つまり公共事業を一気にばら撒いても、それを消化する体制はボロボロになっている。


 


 更に危惧するのは安倍政権は金持ち優遇に偏っているのではないか。その端的な表れが祖父母から孫へ教育費として1000万円程度まで贈与しても非課税にしようとする動きだ。金持ちの祖父母を持つ孫は嬉しいかも知れないが、貧乏な祖父母を持つ孫は恨むことになる。それが良いことなのだろうか。持てる者は税を支払う、つまり「応能負担」こそが国家維持の原則ではないだろうか。それを壊してまで金持ちを優遇する必要があるのだろうか。


 


 さて、安倍氏は枯松葉に点火した。今は口先介入だけで円安株高に市場が推移していることに安倍氏は「ロケットスタート」だと気を良くしているが、ロケットは燃料がなくなれば滑空することなく自由落下の原理で墜落する。安倍政権の経済対策が円滑に進むとは到底思えないし、景気が墜落した後には膨大な赤字国債の山が積み増されただけだということになりかねないと危惧する。


 順序としてまず経済成長策を打ち出してから、徐々に景気策に点火するのが手順だと思うのだが、安倍氏はロケットスタートに拘った。なにがなんでも4月から7月期にインフレを起こしたいようだ。単に悪性インフレをもたらすことにならなければ良いが。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。