改革という言葉も安くなったものだ。
共に選挙の勝利者・安倍氏と猪瀬氏が会って「国と都で協力して改革して行こう」と意気投合したようだ。改革という言葉も安くなったもので、道路公団民営化改革によって高速道路の維持管理費が削られ、笹子トンネル天井板崩落事故に繋がったといえなくもない。競争相手のない高速道路を分割民営化して、一体何がどのように変化したのか猪瀬氏と大宅女史は民営化以後の高速道路会社の在り方を国民に説明する責任があるのではないだろうか。
前回の首相時代に安倍氏は教育に手をつけ、国民投票を可能にしたが、それらはいずれも中途半端に終わった。5年前に参議院選挙で安倍氏の率いる自民党が大敗して首相を辞任する原因になったが、さっそくリベンジを果たすのに絶好の参議院選挙が来年7月にある。それまで安倍氏はこの国の閉塞状況にある景気を改善して経済成長下のインフレを演出することが出来るだろうか。
行政改革要望は米国政府からの要求で、自民党は必死になって応え続けて国内に非正規労働者は溢れ貧富の差は拡大した。同じ轍を安倍氏は踏むつもりだろうか。その最たるものとしてTPP参加がある。
自由貿易は国是として守るべきだが、関税自主権を放棄してはならない。ましてや不平等条約とでもいうべきISD条項の盛られるTPPやFTAに安易に乗ってはならない。韓国は米国とFTAを結んだがさっそくISD条項を発動されて弱っている。条約締結まで内容を秘匿すべきというTPP交渉に急いで日本が飛び乗る必要はない。TPPというバスが何処へ向かうのか、それを見極めてから乗る方が良い。
米国に鼻面を引き摺り回される国であり続けるのはもうウンザリだ。私たちは戦争が終わって誕生した。いつまでも駐留軍然として振る舞う米軍には反吐が出る。いざというとき役に立つか立たないか分からない米軍頼みよりも、日本は日本国民が守るための軍を整備し、さっさと米軍には国内から帰って貰いたいものだ。それこそが安倍氏の大好きな戦後レジュームからの脱却ではないだろうか。それはこの国の制度と精神史に大きな変化をもたらすもので、真に改革の名に値するものだ。