「政党」隠しに続いて「争点」隠しか。

 野田首相がTPPを選挙の争点にしようとしたところ、オバマ大統領側から争点にしないようにとのシグナルを受けたという。「TPP参加」を掲げて民主党が闘って下野した場合、国民がTPP参加反対により政権が変わったとの認識を持つと、今後のTPP参加議論が国難になるとの読みからだという。


 これが事実なら米国による日本の民主主義に対する干渉ではないだろうか。それにしても今度の総選挙でTPP参加を争点の一つにすると米国に打診していたとすればまだ首相の立場はいかなるものだろうか。


 


 日本国の首相として野田氏は日本の国益に関心を払うべきだ。米国との連携は国際戦略で日本の国益実現上の取捨選択の一つに過ぎない。いつの日にか電撃的に米国が中国と手を握って東アジアの権益を分け取りしないとも限らない。かつてニクソン大統領の時に米国は日本の頭越しに中国と国交回復を話し合ったことがある。為替レートと対中国関係で2つのニクソンショックと呼ばれたものだ。


 


 米国は露骨に自国の国益を追求する国家だ。その実態は中国の膨張主義と少しも変わらない。ただ中国の世界戦略がバレバレな短期的な視野なのと比較して米国のそれは表向きに露骨なジコチューが出ないように配慮しているかの相違に過ぎない。米国の本質はプラグマティズムの国家であることを忘れてはならない。


 米国は日ソ平和条約締結に向けて精力的に交渉した鳩山由紀夫氏の祖父鳩山一郎氏を許していないし忘れてもいなかった。鳩山家は米国にとって鬼門だった。その鳩山氏が政界から引退し日本の政界に残る、米国の鬼門は小沢氏だけになった。小沢氏こそ田中角栄氏の政治的な弟子で、田中角栄氏は米国から真の独立を目指して米国との事前打ち合わせなしに日中国交を電撃的に断行し、石油利権の世界に日本独自で乗り出そうとした。それがロッキード事件の起因だっと指摘する人もいる。


 


 米国の指示により民主党がマニフェストから「TPP参加」を消したとすれば由々しきことだ。同じように日本維新の会も「TPP参加」をどうするか発言しなくなった。もとより、自民党は当初から「TPP参加」に対して立場表明に及び腰だ。党内に相反する勢力を抱え込んでいるからだというが、それこそ明確にして国民に投票選択をお願いするのが選挙ではないだろうか。


 


 しかし更に問題なのはマスメディアが相次いで「選挙の争点は何か」という世論調査を行い、「TPP参加」はコンマ以下だったとして扱いを小さくし、報道から隠そうとしていることだ。同じ事柄は「脱原発」にもいえるのではないだろうか。


 ここに到ってマスメディアは踵を揃えて国民の関心事は「景気対策」であり「社会保障改革」が双璧だと報じ始めた。「消費増税」や「TPP参加」や「脱原発」が争点となって国民の意思が示されるのを恐れる人たちによる策動としか思えない。


 


 この国のハンドルは一体誰が握っているのだろうか。主権在民の国民がハンドリングする民主主義国家のはずだが、実態は米国の意を受けた官僚たちやマスメディアが巧みに世論操作してこの国を操っているとしか思えない。


 日本が敗戦ショックの集団催眠術からいつになったら覚醒するのか、覚醒してアジア諸国の一員として世界平和のために発言しリーダーシップを発揮するのか、泉下の先人たちは固唾を呑んで見つめているに違いない。



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