捜査機関とマスメディアの関係は、
PCのウィルスソフトによる乗っ取りで送りつけられたメール犯罪で現在まで4人が犯罪者として立件され送検されていた。そのことに関してマスメディアは捜査当局の「自白の強要」や裁判所の「逮捕状の発行」に問題はなかったかと疑問を呈さないのはなぜだろうか。
そもそもマスメディアが「威力業務妨害」に相当するメールを送りつけたとする犯人たちのアリバイや動機に対して疑義を少しも挟まず捜査機関の記者会見通りに報道したことに対して謝罪の一言もないのはなぜだろうか。捜査機関が「犯人」扱いされた冤罪者たちに謝罪するのは当たり前だが、マスメディアもある種の加害者ではなかっただろうか。
冤罪により退学を余儀なくされた元大学生はアリバイを主張していたという。つまりパソコン起動の2分後にメールを送りつけたことが判明したが、たった2分で文章を打ち込み送信するのは困難ではないかと取調官に主張していたようだ。しかし、一切抗議は認められなかったようだ。
普通パソコンによるメール送信には中継基地のプロバイダにIPアドレスが残り、それを辿れば発信元のネット契約者は特定できる。だからパソコンから匿名メールを送信しても、匿名手紙によるものよりも匿名性は極めて低い、ということはパソコンを日常的に扱う人なら常識だ。しかし捜査当局はそうしたITの常識すら知らずにIPアドレスがお前のものだからお前が犯人だと言い張ったらしい。普通の常識ある人なら、そうしたすぐに犯人と特定されるようなバカなことはしない。
ウィルスセキュリティーを厳重にすれば良いではないか、というのもパソコンに熟知している人ならバカな議論だとすぐに分かるだろう。なぜならセキュリティーソフトに引っかからないソフトを作るのがハッカーなのだ。だからハッカーが存在を顕示するにはセキュリティーソフトの網の目を潜れるものを作ったということだ。
それならどうすれば良いか。話は簡単だ。すべてのメールにはIPアドレスが残るから、IPアドレスを辿れないように海外のブロバイダを迂回しても、国際条約によりすべての国のプロバイダは国際的なIT犯罪捜査協力に基づいた捜査の場合はIPアドレスの公表を義務付ければ済むことだ。そうした話し合いを国際的に喚起する必要がある。
ハッカーのハッカーを養成しようとしたり、ウィルスセキュリティー会社を儲けさせるだけの対策を講じようとしないことだ。卵が先か鶏が先かの終わりのない対策ごっこに大金を使うより、国際的な捜査協力にサーバーの情報開示の一項目を入れれば済むことだ。
それよりも大事なのは捜査当局はいかにして冤罪を製造したのか。そしてマスメディアはただ単に捜査当局の記者会見を無批判に垂れ流すだけの愚かな機関なのか、ということをマスメディアに投げ掛けなければならない。冤罪は捜査当局によって作られたが、それにより被害者を社会的に抹殺したのはのマスメディアに他ならない。小沢氏の「陸山会事件」を反省しないマスメディアはまさしく懲りない面々だというしかない。