既得権構造社会に経済成長力はない。
政府は戦略会議を設けてこの国を経済成長させるべく様々な提言を取りまとめようとしている。しかし基本となる大前提をしっかりと見定めなければ将来を見据えることは出来ず、単に各省庁の補助要望を取り纏めただけの「願望書」になりかねない。
まず経済成長させる芽は既得権にないことを肝に銘じなければならない。恵まれた構造社会の中に安住している人たちが自分たちの安住している社会を自ら破壊する、あるいは別に新規の社会を創り上げようとすることに心血を注ぐだろうか。
かつて昭和40年代や50年代に日本が驚異的な経済成長した裏には安住できるほどの利権構造が官・産になかったことが挙げられよう。当時の日本は経済規模も小さく官僚たちが手にする利権もそれほど大きくなかった。
しかし経済規模が大きくなるに従って、産業界に力がつき動く金も大きくなると様々な集金構造を官僚たちは考え、そのムラに参加すると何らかの優先権が与えられることにして他の企業と選別した。その格好の例が入札の「指名競争」だ。
数社にだけしか入札参加を認めず、入札談合がしやすい環境を官僚たちが与える見返りに天下りを受け入れさせる、という利権構造が成立しやすい環境を手に入れる。指名競争入札制度を採る理由として「適正規模と適正技術を有する企業に受注させ予算が適正に執行できるように期すため」などと屁理屈をつけているが、それなら落札企業が適切に予算執行に夜成果を実現できなかった事例を挙げてもらいたい。
官僚の利権構造そのものが経済成長を阻む元凶だ。原子力ムラにより太陽光発電の成長戦略がどれほど邪魔されてきたか。それにより世界でトップの座から転落した経済的損失を想像したことがあるだろうか。その損失は現在だけではなく未来に及ぶ膨大な損失だ。
原子力に未来はあるのか。放射能まみれの廃棄物を山ほど排出するだけでは飽き足らず、広い地域を放射能で汚染する危険性を常に孕む発電装置など必要ない。ただ原子力ムラを存続させるためには一基だけでも稼動させていれば従来通りの補助金が流れ込むだろう。そのために彼らは必死になる、何も日本の国民生活や産業のためではない。
利権構造を無視する、もしくは利権構造を打破するところに経済成長の芽がある。それを成すことが出来るのは政治家だけだ。政治家だけがこの国の法律を変え、官僚たちを指揮できる。しかし官僚たちに取込まれた政治家に何も出来ないのは自民党政治や民主党政治で見せ付けられてきた。もう官僚下請け政治を延々と見せられるのはたくさんだ。官僚利権構造に切り込める政治家こそが国民と経済に必要だ。
地方自治体の何割かが採用している電子入札がこの国では採用されないのか、国会議員たちは真剣に議論しているのだろうか。
いよいよ小沢氏の出番が待ち望まれる。2009マニフェストこそが経済成長戦略の芽を包含した戦略の書だった。子供手当を支給すればそれが少子化対策になると同時に新築刺激にもなっていることを見逃してはならない。高速道路無料化は地方の起業家たちにとってどれほど朗報だったかを考えたことがあるだろうか。財務官僚たちの2009マニフェスト否定発言を鵜呑みにしてマスメディアが批判し叩き潰したが、小沢氏たちによって2009マニフェストが再び蘇ることを期待する。それこそがこの国の成長戦略だ。