注文すべきことはキチンと注文してからだ。
日本の財務省がフランスの財務省にユーロ圏諸国を支援する「欧州安定メカニズム(ESM)」が、資金調達のために発行する債券(ESM債)を購入すると発言したようだ。しかしEUにどれほど資金を注ぎ込めば安定するのか、というESMの計画が提示されるのが前提なのはいうまでもないだろう。日本はこれまでも欧州危機に際してIMFに多額な基金提供をして来た。それでも欧州機器は去らないどころか、欧州発の不景気が世界経済を覆っている。
日本で開催されたIMF総会でIMFは「増税や過度な緊縮財政はかえって景気回復の妨げになる」と日本の増税路線に警鐘を鳴らした。至極当然な発言で、デフレ経済下における「消費増税」は自殺行為に等しい。
財政再建は経済成長で成し遂げるべきで、そのことは幕末の長州藩や薩摩藩の藩政改革に学べば一番良く解ることだ。
日本の経済成長を促すには超円高を解消するしかない。さらに内需拡大をというのは無理難題というものだ。GDPのわずか14㌫にまで縮小した貿易額をさらに縮小するのは日本の加工貿易経済構造からいって出来ない相談だ。
それよりも1ドル110円ほどだった頃と比較すると現行の1ドル78円は一体幾らの関税に相当するのか、簡単な算数だから試してみると良いだろう。そうすれば僅か数㌫の関税を撤廃するTPPが日本経済の救世主でないことが納得できるだろう。
中国並みの対GDP36㌫まで上げろとはいわないが、せめて20数㌫まで外需拡大すべきだ。超円高対策により実質30㌫近い関税が引き下げられれば韓国の白物家電に負けることはないだろう。自動車や大型プロジェクトも日本の技術力と高品質製品を以ってすれば何処にも負けないはずだ。
日本は経済成長に伴う適切なインフレにより財政再建を行うべきだ。プライマリーバランスをとるにしても景気が戻れば増税なしでもそれほど困難なことではない。
財政再建には官僚利権の徹底した洗い出しと、景気回復によりプライマリーバランスを取るのが必須条件だ。それさえ出来れば、後は経済成長と適切なインフレータにより自然と赤字国債の償還は出来る。そうした経済を日本は目指すべきだ。