民主党の政策決定機関は何処だ。

  野田佳彦政権が米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの沖縄配備を計画通り受け入れる方針を固めたのに対し、民主党前原誠司政調会長が公然と批判したようだ。民主党の政策決定機関は「政調会」で、前原氏はその会長だが、党代表は野田氏で、野田氏が党を代表すると同時に首相として日本を代表して防衛や外交を司っている。その両者が対立するとはいかなることなのだろうか。


 


 ただ、オスプレイの沖縄配備計画の前段として、今月の23日にも岩国基地に陸揚げして組み立て、訓練飛行をすることになっている。それに対して既に告示され今月29日投開票の山口県知事選挙で自民党と公明党の支援を受けた候補の応援に帰郷した安倍晋三氏が「オスプレイ配備を遅らせなければ選挙に響く」と危機感を漏らしていたようだ。


 


 前原氏の発言がどのような意図からなされたのか判然としないが、安倍氏の意図を汲んでの動きであるとしたら、既に民主党の自民党化もそこまで進んでいるのかと思わざるを得ない。山口県知事選が済むまで四国沖か太平洋で米軍の運搬船を足止めし、オスプレイ騒動が山口県知事選に影響を与えないように配慮したとすればこれほど厭らしい政治家はないだろう。


 


 確かに民主党は山口県知事選に候補者を擁立していない。当初は「再エネ」の専門家に打診したようだが、無党派で戦うと断られたようだ。山口県の選挙風土は圧倒的な保守王国で、厚い保守地盤に乗った候補者が独走する情勢にあったことから、民主党は独自候補の擁立もなく、連合も自主投票と早々と決めてしまった。そこに民主党を離党し議員辞職して候補に名乗りを上げた元衆議院議員がいるが、民主党県連は「事前に相談がなかった」として支援しないことを決めている。何とも不思議な民主党山口県連の動きというしかない。


 


 しかし「再エネ」の専門家が立候補表明するや、知事選を独走していた自・公が支援する候補者の前途に暗雲が垂れこめた。大飯原発再稼働を野田首相が一方的に決めたことから、野田民主党に反発する民主党支持者や社民党や共産党支持者などが「再エネ」専門家の支持へと結集し、元々あった「上関原発」反対運動のうねりも「再エネ」専門家の支援に動いている。そうしたことから、安倍氏が危機感を抱いたとしても不思議ではない。


 


 ただ野田首相が計画通りの配備を表明しているのに対して、「安全性確認」の必要性から遅らせるようにと前原氏が意見表明したのは安倍氏とリンクした動きではないかと勘繰られても仕方ない。そうでないというのなら、民主党が政党としてオスプレイ配備について、米軍の戦略上どのような役割を担わせることから必要なのか、子細に米軍の戦略とオスプレイの位置づけを検証した痕跡が見られない。つまり民主党お得意の「単独のスタンドプレー」による口先政局を演じたのではないかと思われても仕方ないだろう。


 


 日本の不幸はこうした愚かな政治家を多く選出していることだ。国会でマトモな国防議論が戦わされたこともなく、単純に米軍に与する勢力と米軍に反対する勢力とが、米軍へのポチ度の表明と反日的意見の表明とに明け暮れして来たことだ。


 本気で日本の国土を日本国民が守る、という議論をして来ただろうか。日本国内に駐留する米軍を削減する交渉を本気で米国として来ただろうか。首都圏にこれほど外国軍が展開している国は世界で日本だけだ。いつでも日本の政治・経済の中枢を外国軍が即座に占拠できる状態にある。つまり米国は日本を軍事的に好きな時にいつでも占領できるのだ。


 


 これが独立国家だろうか。米軍の世界戦略などはどうでも良い。日本がどうするのかが問題なのだ。日本が中国や韓国や北朝鮮やロシアとどう向き合うのかが問題なのだ。このまま「戦力なき軍隊」として自衛隊を貶め続けていて良いのか、それとも日本国民による防衛大綱と工程表を作って、米軍に順次お引き取り願うのか。


 


 オスプレイ配備に関して「安全性の確認」が問題なのはいうまでもないが、防衛戦略の手駒も持たないまま、口先だけで「配備延期」を言ったのだとしたら、前原氏の「口先番長」の本領発揮ではあるが、何ともお粗末な政権与党の政調会長だとの誹りは免れない。



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