マイナンバー制度は行政の簡素化へ。

  今国会でマイナンバー制度が成立の見込みだという。民・自・公で合意に達したから審議入りして成立するのだという。大した国民的な議論もないまま、次々と大きな変革に野田政権は足を踏み込むものだ。


 国民の懐に手を突っ込んで税を巻き上げ、国民の納税と社会保障を徹底管理しようとするのは管理国家をイメージさせるだけだ。民・自・公の国会議員は合意に達したのかもしれないが、それで国民的な合意が得られると思っているのだろうか。


 


 民・自・公の国会議員は自分たちで合意に達すれば何でも出来るし、この際やれることは何でもやってしまえ、ということなのだろうか。マイナンバー制度こそ拙速であってはならないし、住基ネットの愚を繰り返してはならないだろう。国民的な議論を積み重ねて合意形成し、マイナンバーを国民生活の中で生かすための工夫がなされなければならないし、それにより行政の効率化と簡素化に資するものでなければならないだろう。


 


 制度創設にはじめにマイナンバーそのものの位置づけを定義すべきではないだろうか。まずは納税と社会保障の情報をマイナンバーに取り込み将来的には医療や介護などの情報もマイナンバーに取り込むという。それなら行政情報を一体化して運用するだけの話ではないだろうか。日本には先進諸国で必ず発行されている国民のIDカードが存在しない事実をどのように考えているのだろうか。本人確認を現在では運転免許証で行っている、という情報国家というにはお寒い限りだ。


 


 次にどのようなネットに乗せるのか、という問題がある。現在の審議方向は住基ネットの仕組みを使って全国にネットするという予定のようだが、現行の住基ネットがいかに非効率・高コストか国会議員諸兄はお分かりなのだろうか。将来の頻繁な運用と管理体制を考慮するなら政府によるクラウドの構築をすべきではないだろうか。頻繁なアクセスと現行の行政窓口だけでなく、将来の電子カルテ化に向けて医師がPCを操作して国民個々人のカルテを即座に知ることができ、既往症やアレルギー特性なども知ることが出来れば国民の安全性も格段に向上するだろう。レセプト管理も行えば後々の薬害被害者の確定も即座に行えるだろう。


 


 マイナンバーにアクセスできる範囲を各行政やセクションによって限定的なものにしなければならない。税務関係のセクションで医療関係の情報にアクセスする必要はないだろう。反対に医療関係のセクションが税務関係の情報を手に入れる必要はないだろう。そうしたセクションごとにアクセスできる範囲を明確にしなければならない。しかも行政を効率的・簡素巣に資するものでなければならない。


 マイナンバーに幾らのコストがかかるのかをまず明らかにすべきだ。税務と社会保障だけの段階ではこうだから、住基ネットの効率的運用で吸収できるとか、あるいはこのセクションの公務員は必要なくなるから配転で合理化できて差し引き行政コストの膨張はない、という議論をしっかりと詰めなければドンドン行政の肥大化を招くばかりだ。


 


 マイナンバー制度の導入に従って、歳入庁の創設と税と社会保障のセクションの一体的運用を官庁も考えなければならないだろう。同じように運転免許証もマイナンバーに取り込んで廃止するほどのことも考慮に入れるべきだ。マイナンバー制度を軸にして官庁や行政の再編が行われなければ、ITが公務員を楽にさせるだけの小道具に矮小化しては情報社会への扉を開けたことにはならない。


 省庁のありようもIT化とともに変化しなければならない。官僚たちはマイナンバー制度の創設により国民を徹底管理できると一面だけを見て勘違いしているかもしれないが、IT化というのは管理する側も変革を促されるものだという側面を忘れてはならない。IT化によるマイナンバーが徹底すれば中二階の都道府県の存在はますます小さくなり、必要性は格段になくなるだろう。そうした近未来を見据えた議論が国会で行えるならマイナンバー制度に大賛成だが、果たして国会議員のどれだけの者がIT社会を理解しているのだろうか、それが問題だ。



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