哀れを留める消費増税可決後の首相会談。
国民のために痛みを伴う改革をとか、財政再建は待ったなしだとか、キメゼリフを並べ立ててカメラ目線に睨みつけたが、26日18時から実施した野田首相の記者会見は妙に言い訳じみていた。
国民から言わせれば、2009マニフェストにないことを突如として「命を懸けて」やられても困る。それに野党の自・公までも野合した賛成したのでは何のために与野党の政党区別があるのか解らない。政治家の大半が財務官僚のロボットになったかのようだ。
大手マスコミも小沢新党はドウタラ、造反議員が54人を超えたらドウタラ、小沢新党に展望があるとかないとかドウタラ、と興味本位の政局話ばかりだ。あとは野田首相が「命を懸け」た消費増税だから成立して良かった、と政策的な吟味もないまま人情話に持ち込む低俗さだ。
首相に到っては「バカだチョンだ、と言われてもやり抜いた僕チャンは偉いでしょ。褒めて」と評価をねだる始末だ。松下政経塾とはこんな未成熟な政治家を育てるために松下幸之助氏は身銭を叩いたのだろうか。
少なくとも経営者が始めた政治塾なら経済政策のイロハだけでも徹底して教え込んでもらいたかった。古今東西、増税で財政再建を果たして国家はないという事実だけでも教えておくべきだった。官僚たちの甘言に惑わされてはならないと、処世術のイロハも教えておくべきだった。
米沢藩の上杉鷹山はどうやって財政再建したのか、長州藩の村田清風はどのように財政再建し、調所笑左衛門によって財政再建した薩摩藩と明治維新の原動力となったが、その財力はいかにして獲得したのか、歴史に散々学んだはずだ。
決して彼らは増税によって財政を安定させたのではない。官僚たちへの徹底して倹約と、殖産興業による経済成長で借財を返済したのだ。国家財政を歳出削減努力と行政改革によりプライマリーバランスに近付ければ、あとは経済成長のインフレータが借金を返済してくれる。たとえば5%のインフレータなら50兆円もの借金返済と同じ効果を持つ。そうした手法以外に巨額な国家財政赤字を返済する方法はないのだ。国民は「消費増税」で借金返済と嘘をつく野田首相と三党合意を推進した連中と賛成票を投じた国会議員に本気で腹を立てて怒った方が良い。