沖縄の特別扱いはやめよう。

  沖縄に対して特別枠の補助金を交付すると、本土復帰40年式典で野田首相が述べたが、そうした特別扱いがいつまで経っても「沖縄の痛み」なるモノを沖縄県民が言い続ける動機だとしたら、あまりに哀しいことではないだろうか。


 先の大戦で国家から痛みを与えられた国民は沖縄県民だけではない。全国の各都市は米軍の不当な市民虐殺の焼夷弾を中心とする無差別爆撃を受けて家屋を焼き払われ多くの犠牲者を出した。広島・長崎の非人道的な核間兵器使用は地獄絵図をこの地上に出現させた。


 


 恨み事を言えば切りがない。近しい者に先の大戦の犠牲者を持つ国民は少なくない。そして戦後を生きてきた国民の多くは塗炭の苦しみの中から国土を甦らせ、産業戦士となって経済復興に身を粉にして働いて来た。


 沖縄と本土とどれほどの違いがあるというのだろうか。確かに100万人足らずの県民のうち20万人近い犠牲者を出した悲劇は忘れてはならないが、それなら広島でも市民35万人のうち14万人が一瞬のうちに亡くなり、多くの市民が戦後も原爆症に苦しんだ。しかし広島市民が今も原爆の恨み事を国に対して繰り事のように繰り返して「特別補助金」の交付を受け取っているだろうか。


 


 確かに、本土復帰後も沖縄本島の面積の実に18.4%を米軍専用施設が占めている事実は余りに過重であるといえる。しかし単純に自衛隊も米軍と共に使用する「基地」面積を比較すると、一番広いのは北海道の344.6㎢だ。沖縄は2番目の236.8㎢となる。全国の基地が使用している面積で比較すると1番は北海道で34.1%となり,沖縄は23.5%だ。ただ米軍専用施設だけに限れば全国の74.7%が沖縄に集中していることになる。だから余り沖縄が日米安保の犠牲になっているとして、74.7%の数字だけをひけらかさない方が良いだろう。


 


 その反面、基地経済の恩恵に浴しているのも事実だ。観光以外に大した産業のない沖縄で人口が本土復帰時の96万人からこの40年間で140万人に増えているのが何よりの証拠だ。人口が増えているのは経済環境と生活環境が良くなっている証拠なのだ。そうした本土から手厚く「特別補助」が注ぎ込まれている事実に、まず感謝しなければならないだろう。一人当たり県民所得も09年の統計に見ると最下位は高知県の2,017千円で沖縄はその次の2,054千円となっている。第1位の東京都の3,907千円と第二位の神奈川県の3,086千円は別格として、後はすべて200万円台だ。それほど自虐的に思うほど沖縄県民が貧乏なわけではない。


 


 しかし沖縄県民が基地返還を求めるのなら、本島面積の実に18.4%を占めている基地を削減するのは当然のことだろう。基地経済と特別補助金漬けになっている経済構造は正常ではない。それを是正するには観光資源をしっかりと開発し、沖縄県民が誇りを持って宣伝するしかない。沖縄独特の文化の伝承と担い手を育てることも必要だ。「恨み節」ではなく、沖縄の「良さ」と「誇り」を発信しなければ他の地域から進んで観光に訪れようとはしないだろう。本土復帰40年を期に、新しい歴史を刻む覚悟を沖縄県民が持たなければならない。



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