「本末転倒」なのは国家財政のために国民経済を顧みない政治家たちだ。
安住財務相が低所得者対策として低所得者給付型の政策で還付すべき総額を4千億円程度とすべきかを議論するのは本末転倒だと発言したようだ。
たしかにまず総額ありきは議論として逆進性がどの程度の所得者まで及ぶのかの判定基準によって合理性も異なるだろう。ただ欧州諸国と比較して、例外なき5%課税の日本の消費税は決して定率課税とはいえない。三宅などと称する老評論家が「日本は5%だが欧州は20%以上だ」と日本の消費税の低率を論っていたが、実質的に欧州各国と重税感に於いては遜色ない税になっていることが、やっと国民に浸透してきたようだ。
本末転倒というのなら、安住財務相はそもそも国税収入が七十兆円を超えていた事実を忘れてもらっては困る。景気が良ければ現行税制でも十分に増収可能なのだ。それを消費増税1%で二兆円程度の増収だから、5%の増税で十兆円の増収と「獲らぬ狸の皮算用」を弾いていた財務官僚は軽減税率論議や還付税方式が議論されるに及んで、増収の当てが外れたと舌打ちしているのではないだろうか。
税の増収を目指すのなら、仁徳天皇の故事ではないが、まず国民経済を改善して自然増を目指すのが本筋ではないだろうか。少子化対策を十分に採って、特殊出生率が2.01を超えれば自然と個人消費が上向く。やがて彼らが労働年齢に達すれば日本のGDPは自然と増加するだろう。もちろん個人消費も増加するし、税収も自然増となるだろう。
しかし画期的な2009民主党マニフェストを「ばら撒きだ」と闇雲に批判してブッ潰したのは官僚たちと大手マスコミだ。お陰さまでこのまま推移すれば千年後には子供はゼロになるという。国を滅ぼす国賊はどっちだろうか。
安住財務相たちは本格的に経済学を学んだことがあるのだろうか。ないとしたら、その程度の知能の持ち主が財務大臣に就任している愚かしさを嘆くしかない。まだ毎年全国の公示価格が低下しているデフレ下で増税する愚策を本気で止める政治家はいないのだろうか。
松下政経塾出身の首相とNHK出身の財務大臣がこの国を危うくし、国民に重税を課そうとしている。それを止めるべき野党も、数十年も前から官僚の下僕になり下がっている自民党なら、国民は頼るべき政党がないことになる。せめては小沢氏の桎梏の鎖を絶たなければならないが、おかしな連中が裁判所に縛り付けている。法的に何の根拠もない「控訴」手続きによって。