ユーロ危機は際限がない。根本的な治療にはギリシヤ破綻しかない。
日本から600億ドル(4.8兆円)の拠出など、総額5000億ドルの拠出をIMFが世界に求めてユーロ危機に立ち向かおうとした矢先に、待ってましたとばかりに欧州の銀行が大挙して資産圧縮するという。その規模たるや210兆円で欧州の銀行各行は保有する証券や債権の償却を行い、体質改善に乗り出すという。ただ、貸し出しの圧縮は1/4程度で、貸出残高全体に占める割合は1.7%に過ぎないという。
ギリシヤ危機から端を発したユーロ危機はギリシヤの改革なくしては回避できない。発行したギリシヤ国債の殆どは外国銀行が引き受けとなっていて、これまではギリシヤ国債の高金利により莫大な利益を得て来た。しかし一旦キセリシヤ危機が表面化すると国際的な金融支援をネダリ、それにIMFが呼応して拠出金注入を世界各国にお願いして回るという構図を繰り返している。
日本がIMFの回す奉加帳に名を連ねる必然性は中国ほど高くない。まだ中国が返答する前に、日本の安住財務大臣は電話で600億ドルの拠出を快諾している。何処にそんなカネがあるのか知らないが、財務省がそうした意向を示したのだろう。
しかし欧州の銀行各行が資産圧縮すれば、IMF基金はそれだけでカラっぽになるだろう。ギリシヤが新規発行する国債消化に向かう余裕は消えてなくなったことになる。なんのことはない、日本などの拠出金は欧州各行の支援に使われるだけで、ユーロ危機は依然として継続することになる。
高利率のギリシヤ国債購入で儲けるだけ儲けて、危なくなればIMFを財布代わりにチャッカリと負債化した資産を焼却して付け回しただけだ。いつまで日本はお人好しの金満家を気取っているのだろうか。そのくせIMFは消費増税を「早くしろ」と財務省の応援団よろしく大手マスコミにメッセージを掲載する。それも「17%にしろ」などと内政干渉までやらかしている。
そのために一段と円高になる可能性が高い。つまりユーロ圏の信用収縮により、投機資金が向かう通貨は世界で円しかないことになるからだ。しかし現行の80円台の円水準は異常な円高であり、日本の経済力を反映したものでない。それなら日本も負けずに円を増刷して円安をマネーサプライの面から強力に行うべきだ。断じて「円高に振れる増税」論議をすべきでないのはいうまてもない。野田政権は国民のために政治をやっているのか、それともIMF(米国の第二の財布といわれている)のために政治をやっているのか、既に国民は見抜いているだろう。
ギリシヤ国債不安に端を発したユーロ危機はギリシヤの国家破綻がなければ永遠に続くと思われる。ギリシヤに国内の改革が自律的に行われるのは不可能のようだ。それなら破綻させるしかないだろう。そうすれば国家として雇用している膨大な数の公務員は否応なくレイオフとなるし、高額な公的年金も支払い不能により改革せざるを得ないだろう。日本はそのギリシヤ破綻をしっかりと検証して、日本も破綻させるべきかの研究材料にすれば良いだろう。