フランスの改革が止まるのか。

  フランス大統領選挙が昨日(4/22)行われて、現在開票中のようだが、現職のサルコジ大統領の雲行きが怪しくなっている。サルコジ氏の得票率が25%台なのに対して野党社会党オランド候補が28%台の得票率のようだ。しかし有効投票数の過半数を占める候補者がいない場合は1位と2位による決選投票が行われることになる。


 


 サルコジ大統領は緊縮財線を強力に進めてきた。フランスもギリシャなどと同じく公務員天国で、労働組合も強いようだ。しかも国民に60歳定年は定着していて、定年になると手厚い年金を頂戴しハッピー・アーリー・リタイアで余生を満喫するライフスタイルが定着している。


 年金に関してサルコジは2点の改革を提唱した。


 1点目は支給開始年齢を62歳に引き上げること、2点目は公務員年金制度を廃止することだ。これにより労働組合と全面対決することとなったが、緊縮財政により失業率が増え、現在では最悪の10%に達しているという。


 


 大統領選前にサルコジが提案したのは年金支給開始年齢を65歳から67歳に引き上げることだった。これが国民の支持離れを促進したといわれている。年金改革は不人気のようだが、徹底して実施しなければ「年金受給者が優雅に暮らして、現役世代が結婚して家庭を営むのもままならない」社会に陥ってしまう。現在の日本はまさしくその状態にある。フランス国民は国のリーダーを決めるのに自分たちの利益を最優先するようだ。


 


 サルコジが「緊縮財政」を強力に推進したのはユーロ危機解決に向けたドイツとの約束による。それは同時にギリシャやスペインやポルトガルなどの財政危機を乗り切るためには「緊縮財政」を進めるしかないからだ。


 そのために優遇されている公務員改革に手を付けるのは当たり前のことだが、その国の最大の労働組合はいずれの国でも公務員組合だ。一致団結して労働組合が動けばサルコジのように苦戦を強いられ、60歳定年を堅持すると提唱し、失業率改善のために財政出動すると約束した社会党のオランド候補に支持が集まることになる。しかし、サルコジの選択をフランスは受け容れるしかないだろう。


 


 日本はどうだろうか。フランスは緊縮財政を実施しているが、子供手当を減額していない。国の未来に関わる施策を減額するのは日本のバカな政治家だけだ。しかもサルコジは緊縮財政を実施して苦境に陥っているが、日本の野田氏は前年度比増の予算を組み続けて「財政が大変だ」と叫んでいる。国民に財政悪化を宣伝するために、歳出削減努力しない官僚を甘やかし続けているとしか思えない。自民党時代の政策をそのまま継承して利権団体を肥満させ、民主党のマニフェストを摘み食いして予算を膨張させてきた。挙句の果てに、いつの間にか高速道路延長は相次いで解禁となり、凍結していた整備新幹線も解凍レンジに投入しチーンしているようだ。


 


 この国の基本的な設計図はあるのだろうか。果たして現在の基本的な経費はいくら必要なのか、この国を運営する最低必要経費は幾らなのかすら、国民は知らされていないし、国や地方公共団体から出される決算書を見ても直ちに分かる仕組みになっていない。企業では企業収益と経営判断をするために企業会計原則でB/S、P/Lの報告書を義務付けているが、財政法で義務付けているのはこの国でしか通用しない「歳入、歳出」の提示になっている。世界基準に改めるのがそんなに困難なことなのだろうか。しかも表面に出ている会計報告の数倍もの特別会計が隠されている。


 


 緊縮財政で問われるのは「選択と集中」だ。選択で切り捨てられる予算に群がっていた人たちはブーイングの嵐を浴びせるだろう。しかしそうしなければ財政は持たない。


 そうすると基本的な考え方を選挙で掲げて、国民に問わなければならない。サルコジが敗れればフランスの財政は日本のように膨張し続けるだろう。ユーロ危機は根本的な解決不能な出口のない袋小路へと突き進み、破綻するしかないことになる。


 


 日本も対岸の火事と眺めていてはならない。選択と集中を敢然と進めなければならない。年金も現役時代の5割を目指すなどというのは高給取りの権益擁護に他ならない。まずは暮らせる年金を国民すべてに支給出来た上で、保険料を多く支払っていた人たちに報いる話を始めるべきではないだろうか。壊れかけの現行年金制度の利権を維持したままベタベタとガムテープを貼ってポンコツ車を走らせ続けるようなみっともない真似はやめるべきだ。まずは最低のライフ・ラインを日本社会にしっかりと構築するのが先決ではないだろうか。


 選択と集中で2009マニフェストに掲げた「子供手当」満額支給を目指すべきだ。少子化は国を滅亡させる。滅亡させないまでも大幅な「移民」を受け容れざるを得なくなり、国内に大きな軋轢を生む原因を作りかねない。


 


 まず、この国の基本構想をしっかりと議論しよう。消費増税などという枝葉末節はそれからの議論だ。底の抜けたバケツ財政を何とかしないままで、増税して水を多く汲み込む方策ばかり議論してどうなるというのだろうか。野田政権には一日も早くお引き取り願い、政党がそれぞれの「基本構想」を国民に提示して、信を問うことだ。



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