バブル退治は結局何をもたらしたか、大手マスコミに踊らされただけだった。

  1989年前後に酷い政策が相次いで打ち出された。公定歩合の引き上げもさることながら、銀行による「総需要抑制」と称する不動産事業者への貸出禁止と引き剥がし、国税による不動産短期譲渡所得(当時は購入後10年以内の物件を短期と称した)譲渡益に対する98%課税、さらには監視地域と称する特定地域での土地取引の抑制。そうした滅茶苦茶な施策により不動産企業は相次いで破綻し、町の不動産屋もわが世の春から一転して夜逃げへと追い込まれた。


 


 不動産バブルは崩壊したが、それから20年もデフレ不況が続いている。土地公示価格は依然として全国平均では対前年比マイナスが続いているのが何よりの証拠だ。しかし、バブル崩壊の不良債権処理と称して日本の銀行に莫大なカネを公的支援として注ぎ込み、その銀行を禿鷹ファンドに10億円程度でプレゼントした竹中氏なる市場原理主義者が登場したりした。今でも大きな顔をしてテレビに出ているが、彼が一体何をやったか、歴史がそのうち厳しく評価するだろう。


 


 バブルを叩き壊して、一体何が残っただろうか。反対にバブルが続いていて、何が悪かったのだろうか。税収も絶好調で国民は全体的に不況知らずだった。就職も青田刈りが一般的で、新卒者たちは金の卵と持て囃された。


 土地価格が上昇して一般庶民には手の届かないものになった、として大手マスコミが先頭になって不動産事業者たちを「悪徳不動産」と罵り倒した。特定の不動産事業者がテレビのワイドショーに取り上げられて、徹底して不道徳振りや金満家振りを半ば羨望の目で見ながら非難した。だから彼らが一転してバブル崩壊で破綻すると溜飲を下げて、落ちぶれた不動産事業者をテレビカメラは面白い見世物のように追いかけ回した。


 


 しかし、それからやって来たデフレ不況は庶民を直撃しなかっただろうか。新卒者を直撃しなかっただろうか。そして土地や家は価格下落で庶民の手に届くものになっただろうか。ヤンヤの喝采で不動産バブル紳士たちを破産へと追いつめて面白がっていた人たちは、結局何を手にしただろうか。


 仮需要は膨らみ切った風船だから、放置していてもやがて自然としぼむタチのものだった。誰かがババを掴んで損をするのは株式市場の世界では日常的に良くあることだ。それが不動産取引で起こったに過ぎなかった。大手マスコミが一斉に囃す流れに乗るとロクなことはない。徹底してバブル叩きを行って、その果てに信用収縮による莫大な不良債権の山を造ってしまった。何と愚かなことをしでかしたものだろうか。


 放置していても、自然とバブルは終息して落ち着くべき所に土地価格は落ち着いたはずだ。それも極めて自然に。三重野氏の御逝去の報に接して、通貨当局が何を為すべきで、何を成してはいけなかったのか、今もって最高責任者は御存じないようだと感慨一入だ。



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