まともな投資会社なら「ヘッジファンド」の真似はしないものだ。

 実態が良く分からないAIJと称する「投資顧問会社」が預かった年金基金2100億円を「運用」してパーにしたようだ。実際に金融デリバリ市場で50兆円も運用し、ここ2年ほどですべてすったという。


 


 かつて「先物商品相場」は胡散臭いものだ、というのが世間の常識だった。現実にありもしない「半年後や1年後の商品」を売買し、儲かっただの損しただのと言って顧客からカネを巻き上げて、結局は巨額な損失だけが残るものだ、というのが通説でマトモな人は手を出さないものだとされていた。


 


 それがマトモの代名詞である金融機関がFXなどという「為替の先物商品」を顧客に売りつけたりしている。さらに固くなければならない「石橋を叩いて壊す」ぐらいでなければならない「投資顧問会社」が胡散臭い世界の名だたるヘッジファンドが暗躍する「金融デリバティブ」に首を突っ込むなどとは狂気の沙汰だ。


 


 そうした投資顧問会社に各企業が企業年金基金の運用を委託していたとは驚きだ。博奕で儲けるには手元金の多い方が有利なのは常識だ。2千億円程度で1日に数十兆円も動く金融デリバティブの世界に首を突っ込むのは、観光客が外国旅行したついでにカジノを訪れて博奕をやるのと大して変わらない。必ず胴元の食い物になってスッテンテンになるのが通り相場だ。


 


 少し確立を学んだものなら「宝くじ」が壮大なる嘘の塊だと分かるだろう。利益還元率が48%だというから電卓に0.48を置いて0.48を繰り返し乗じるとアッという間に0になる。国民は巨大な罠に嵌められて損しているのにタレントなどがテレビに登場して「賞金が5億円になるゾ」と博奕心理をくすぐられ、発売日に宝くじ売り場に長蛇の列を作ってしまうのだ。それが当たり前だと思わせるように報道番組で宝くじの売り出しと窓口に群がる人たちを放映して「早く買いなさい」と国民を煽る。それが「交通事故に遭遇するより低い確率でしか当選しない」ことを言わないで。


 


 世間の風潮はすべてこうした「世論操作」によって醸成されていくようだ。「金融デリバティブ」と呼ぼうと「金融工学」と呼ぼうと、それらはホンノ少し前の日本国民なら眉を顰める「先物商品取引」の世界でしかない。しかし現代社会では第3次産業と称して「虚業」に近い産業がもてはやされている。そうした社会が行き着く先を見たければは米国を見れば良いだろう。


 既にマトモな製造業は軍需産業くらいしかなく、ほとんどの暮らしに必要な製品は輸入に頼っている。確かに金融の基軸通貨を握り、世界に冠たる国だが、金融は多くの国民に職を与える産業ではない。それゆえ、ウォールストリートで99%の人たちによる「占拠」騒ぎが起こっているのだ。


 


 投資顧問会社に企業年金を委ねた企業だけが投資金をすられたわけではない。日本の厚労省も国民から預かった年金基金を投資顧問会社に運用を丸投げして、ここ数年で6兆円ばかりすったという。官僚は融通が利かないが仕事は固いことで有名だったが、現在では融通が利かないだけでなく、自分たちの利権は固く確保するが、国民の年金基金は平気で博奕に使ってすってしまうようだ。そういえば年金基金や簡易保険の基金で野放図な「ハコモノ投資」を繰り返したのも官僚たちだった。


 


 AIJには金融庁から検査が入りやがて2100億円も博奕にすった犯罪が立証されて何人かが罪に問われるだろう。しかし国家の官僚たちが博奕市場への投資を丸投げして6兆円も年金基金をすっても誰も罪に問われないどころか、丸投げした特殊法人へもそれをさらに丸投げした先の投資会社へも金融庁の検査が入らないどころか、小沢氏に関しては犯罪事実がなくても隊列を組んで強制捜査に乗り込んだ東京地検特捜部も厚労省へは強制捜査に入らないだろう。


 官僚たちは「誤りをしない」存在だそうだが「謝らない」存在でもあるようだ。



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