究極の「政治ごっこ」が始まった。

 大阪府と大阪市を手中に収めた橋下氏はいよいよ究極の「政治ごっこ」に乗り出したようだ。政治塾を開けば3000人を超える応募者があり、さらに気を良くして坂本竜馬よろしく「船中八策」を発表した。しかしその船中八策が余りに杜撰すぎる。


 


 国政と地方自治の都道府県と各市町村の間にはかなりの部分が輻輳して無駄な部分が多々見受けられる。道路行政一つとっても国道と道府県道と市町村道と、一つの地域に入り乱れている。それぞれに維持部署があり、それぞれが同じような仕事をシェアしている。それも税金で行っているから非効率そのものだ。


 


 橋下氏は図書館や各種会館なども輻輳していると指摘しているが、まさしくその通りだろう。明治初年に完成したこの国の行政の仕組みがそのまま150年近く経った現在も行われているのだから、無駄の塊と化している。現在のIT化の時代に「文書」主義というのも見直さなければならないだろう。


 


 そうした面では考えを一にして異論はないが、頂けないのはTPPやこの国の仕組みの在り方に関する考え方だ。何よりも目立つのは外交関係で米国との関係を深化させようとする考え方だ。防衛では日米豪の関係に重きを置くという。


 日本独自の防衛力強化なくして、豪州は乗って来ないだろう。豪州は豊富な石炭資源を中国へ大量に輸出している。今後とも中国との経済関係を深めるだろうし、中国と余りに近い日本と接近する危うさを感じているだろう。


 


 米国は出来れば韓国や日本から離れた地に米軍を移駐させて、自分たちは安全な地から遠隔操作で日韓を操って中国や北朝鮮や露国に対峙させようとする戦略に変革している。北朝鮮は核武装して永遠に韓国とは講和出来ない体制になっているし、中国は伝統的な膨張主義により日韓と相容れないのは歴然としている。露国はあれほど膨大な領土を持っていても日本の北方四島の占拠に固持して日本と平和条約締結は永遠に出来ない。それこそが米国の最も望む極東の緊張関係の成立であり、日韓はいつまでも米国に頼らざるを得ない。つまり極東における米国の存在も永続化するとの読みから安心して米軍を遠隔の安全地帯へ撤退できる環境が整ったことになる。今後は撤退費用を日本に撤退を恩着せがましく見せて毟り取ることが米国の愁眉の願望だろう。


 


 そうした米国の戦略を読み解かず、日米豪の関係を深化するとは相手国にとっては迷惑だろう。そんなことよりも日本はインドを含む東南アジア諸国との関係を深化させる方が最重要事項ではないだろうか。その連携により中国を牽制して「膨張主義」を封じ込める方が何よりも大事だ。そして日本は日本国民により防衛を行うという自覚を持って軍備を整備することだ。米国の三下でしかない防衛力の在り方でこの国の防衛は出来ない。


 


 TPP推進に関しても関税自主権を奪われた明治政府がどれほど関税自主権回復に苦労したかを知らない人の妄言だ。数%の関税を問題にするならなぜ実質30%近い円の独歩高を解消せよと日本の通貨当局に要求しないのだろうか。そして、ヘッジファンドによる通貨への投機を規制する国際機関の設置を求めないのだろうか。橋下氏も米国の禿鷹のお仲間だということなのだろうか。


 


 参議院の一院制も賛成だ。首相の公選制も賛成だ。都道府県の在り方を根本的に変革するのも賛成だ。教師の古手や地域の名士が跋扈する教育委員会の在り方を変革するのも賛成だ。しかし、それらの変革には憲法改正が必要となる。その手順をどのようにするつもりだろうか。


 まずは現行「日本骨抜き」憲法の改正を2/3の国会議員の賛成が必要とした米国の意図を看破して、憲法が簡単に改正できるようにすべきだ。戦後一貫して一言一句同じ文言の憲法を頂いている御目出度い国民は日本国民だけだ。改憲の手続き議論をまず、日本国民は自由に話し合わなければならない。これまで大手マスコミは日本国憲法をあがめてきたが、米国による「日本骨抜き憲法」に過ぎないことを知らなければならない。


 


 そうした歴史観を持たない橋下氏の政治塾は松下幸之助氏の『松下政経塾』以上に米国に隷属した政権を目指すのではないかと危惧する。


 そもそも一人の人物が大勢を教育する、とは民主主義政治の理念と合致するのだろうか。民主主義の本質とは「みんな違ってみんな良い」という金子みすずの世界ではないだろうか。



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