財務省の思惑か、全体像を報じない大手マスコミ。
おおよその話をしよう。社会保障費として支出されているカネは総額で約100兆円ある。その内訳割合は医療費関係が32%で年金関係が53%、福祉が15%ほどとなっている。その財源は106兆円程度あり、各種保険料が約57%で公的負担(税)が32%でその他の収入が11%程というのがこの国の社会保障の大まかな平成21年度の収支だ。
野田首相の言う「消費税増税で社会保障を…云々」というのは財源の内公的負担部分の話だ。つまり財源の32%部分について話しているのであって、社会保障全体の話ではない。社会保障の一体改革とは各種保険料の負担を上げようというのなら財源の57%部分に関しての話だ。そうしたことを押さえておかないと財務省のプロパガンダにコロッと騙されてしまいかねない。
チマチマとした税金の話よりも医療と年金と介護の「保険金収入」が五十数兆円という税の総収入金額よりも多い現実を国民は知らなければならない。つまり「保険料」と呼ぶモノが納付義務を課されている「税」の徴収総額よりも大きいのだ。その保険料のうち国民年金や医療保険の未収がドンドン増えている。
年金受給人口(65歳以上)は約2900万人だから年金支給額総額53兆円を受給人口で割ると一人当たり年額1、827,000円となり夫婦では365万円となる。この金額が年金として果たして妥当な金額なのだろうか、という疑問は残る。確かに現役世代働いて掛け金を支払って来たのだろうが、現役世代で年収が350万円を超えている世帯がどれほどあるだろうか。
ちなみに国民年金では平均受給金額は月額4.6万円で年間55.2万円で夫婦が国民年金受給者なら平均的には110.4万円しかもらっていないことになる。生活保護費以下の年金でどうやって暮らせばよいのだろうか。
老後の年金世代になっても厳然たる大きな格差があって、死ぬまでそれが続くというのはいかがなものだろうか。国は日本国民のすべてに対して最低でも夫婦で200万円ほどの年金を保障してはどうだろうか。
その財源として負担に求めるのではなく、最も優遇されている共済年金と高額な厚生年金受給者の年金上限設定を低くして、支給額を大きくカットしても良いのではないだろうか。功成り名を遂げた人に金満な老後は必要ないだろうが、貧乏のどん底で餓死する老後はそれ以上に厭なものだろう。そうすれば増税や保険料の負担増を現役世代に求めなくても済むのではないだろうか。