社会保障は「保険制度」で対応すべきものなのか。

  国の予算に計上されている社会保障費は「保険制度」により徴収される社会保障費とは別物だ。それぞれの国庫負担分、とされる「保険制度」に加算される部分に過ぎない。だから国民が年金会計や医療費の総額を知るには国庫による歳出とは別の概念に基づく「国民年金会計」や「厚生年金会計」などといった特別会計を見なければ分からない仕組みになっている。


 


 会計諸表というものは一目瞭然に全体像が直ちに分かるものでなければならない。それが企業会計原則にいう「総額主義の原則」でもある。国や地方公共団体などが採用している「単式簿記」は子供たちが付ける「こずかい帳」や町内会の「会計報告」程度のものだ。速やかに世界標準の複式簿記へ移行すべきであるし、そうしなければこの国の社会インフラの減価償却費すら国民にはまるで分らない。


 


 「社会保障」は保険で対処すべきものなのか、何度も論じてきたが、年金議論を見る限りでは「現役時代」に所属していた年金会計と所得額による、年金受給世代となった際に受け取る年金額の差別を行う根拠にするためのものに過ぎない。年金ではそうだが、医療保険ではそうではない。なぜだろうか。


 年金は掛け金を支払う時の加入年金制度による差別と、その中でさらに掛ける金額による差別が受給する年金額に反映されているが、医療保険では掛け金や所属する医療保険制度による差別は見られない。


 


 医療保険金を年額50万円以上支払っている者や、あるいは公務員の医療保険加入者は病室は個室だとかという差別は全くない。そうしたことはすべきでないと国民に暗黙の了解があるし、そうすれば国民に大きな『差別感』が不満となって溜まることになるだろう。だが民間の「保険事業」で対応している米国ではそうした差別が行われるのが日常風景だ。


 医療に対しては潔癖なほどの「平等」を求める国民が、なぜ年金ではそうならないのだろうか。まさしく日本の年金制度は「年金会社」が2社あるのと同じ構造だ。国民年金だけが「公的年金」で国民は40年間支払い続けると最低とされる国民年金を滿額受け取る権利を手にする。後の加算部分は「国民年金」の加入者は何もない。それは共済年金や厚生年金を支払った階層に所属しないからだ、という理屈だ。


 


 そうした国によるバカな「差別」に国民はなぜ怒らないのだろうか。差別のない医療費を賄うために国民に広く負担を求める「基礎的」な税制の消費税を充てるのなら理解できる。しかし所属する年金制度や保険金掛け金のタカによる差別のある年金会計に充当するのは国民年金制度の加入者や国民年金受給者には納得できるものではないだろう。「社会保障費」とひっくるめて広報するのは官僚たちの手厚い「共済年金」を存続させるための便法だろうし、厚生年金もかつての保険金掛け金にスライドさせているのは「共済年金」の所得にスライドさせることに対する国民年金制度加入者の不満を募らせない仕掛けに過ぎないのではないだろうか。


 


 受益者負担を厳密に適用するなら、医療保険の国庫支出分に対しては「消費税」を充当するが、年金会計に対しては国民年金制度加入者は年定額の「税」により対応し、厚生年金加入者や共済年金加入者はそれぞれ個別の会計運営を破綻させないだけの負担をそれぞれの年金制度加入者に求めるべきだろう。つまり国民を3つの階層に差別しなければ官僚のいう受益者負担が適用されているとはいえないだろう。


 しかし、それがいかに馬鹿げていて国民に新たな格差と差別意識をもたらすかを思えば荒唐無稽なことだと直ちに分かることだが、官僚たちは平然とそうした差別を行い、この国にある「公務員」、「厚生年金受給者」という特権階級の存在を大マスコミは少しも問題意識を持って見詰めようとしない。この国は官僚の説明に呑み込まれ、誰も客観的な分析すらできなくなっているかのようだ。


 


 現役世代の掛け金の多寡や所属していた年金制度によって国民を差別するのなら年金を国で行う必要はない。それはまさしく「民間営利企業の理論」でしかないからだ。TPPによって破壊されるのは医療保険事業であって、年金保険事業ではない。年金保険事業は既に、十分に民間企業的だ。だから生活できない「最低年金」たる国民年金の存在を国が認定しているのだ。


 個人商店経営者や派遣勤労者はいつまでも働ける、から暮らせない年金で良い、と国民は認定しているのだろうか。農業従事者や漁業従事者は死ぬまで働けるから食えない年金額で良い、と国民すべてが認定しているのだろうか。


 いや、そうではないだろう。認定しているのは自分たちは国民年金受給者に決してならない官僚たちだろう。この国は官僚による官僚のための国家に成り下がって既に久しい。政治家まで官僚の下僕に成り下がって、官僚天国の「共済年金」を維持することにのみ奔走している。共済・厚生一元化とはそういうことだ。


 


 何が平等で、何が不平等かを真剣に考えよう。消費税が現行社会保障制度を担保する税制だ、と安易に発言しないことだ。それは現行の社会保障制度が平等なら、と接頭辞を付けて議論すべきことた。そして、現行の社会保障制度が国民にとって平等な制度なのか、それとも特定の階層を国民の中に儲けている、もっと端的に言えば「国民がシロアリ」を飼いやすくする制度ではないのか、と懐疑的に検証することだ。



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