政治が国民生活に背を向けて、官僚たちの顔色を窺っている限り国民の醒めた目線を浴びるだろう。

  橋下選挙により政党政治が終わったかのような論が大マスコミに溢れているが、終わったのは官僚政治ではないだろうか。


 自分自身に自信のない政治家が口先で「政権党の政策に反対」を唱えていたが、いざ国民から政権交代の信任を得て政権を任されると、たちまち自民党的な官僚政治を民主党政権が行うのはなぜかと考えてきた。


 結論として政治家という人たちは中身は何もないスッスラカンの人たちの集まりではないかと思うようになった。


 


 政権が代わろうと自民党の言っていたことを民主党もやっている、というのでは政権交代の意味はない。いったい政権交代で何が変わったというのだろうか。


 子供手当は散霧解消し、高速道路無料化は大幅に後退し変質して東北に残った。公務員改革は全く進まず、各省庁の「離れ」は全廃されるどころか未だに健在だ。歳出抑制は一向に行われず、増税・増負担を民主党政権は大声で唱えるだけだ。これでは自民党政権と何が変わったというのだろうか。官僚内閣制と揶揄されていた官僚丸投げの自民党政権のカーボンコピーが目の前にあるだけだ。


 


 政権交代が変革要素とならないなら、もはやどんな政党に何も期待できない。国民がそう感じるのは至極当然だろう。むしろ官僚内閣制に慣れていた自民党政権の方が手際が良かった、と評論家が評するのも当然だ。


 国民が民主党政権に求めていたのは財務省主導の官僚政治ではなかったはずだ。大幅な官僚の権限剥奪と官僚的な政策の撤廃ではなかっただろうか。まさしく各種「制度事業」は官僚による官僚のための事業と成り果てている。その「原価計算」をまともな政治家なら即座に官僚たちに命じるはずだが、民主党の政治家たちも官僚の上げてくる数字を広報しているだけだ。


 


 たとえば、荒川のスーパー堤防は実際に堤防建設に使われる予算に対して、その堤防建設までに到る諸経費はいくらかと示すべきだ。それには建屋の移転費や道路の付け替え経費なども含まれるだろう。そうすればスーパー堤防建設が本当に正しい政策なのか、それとも地域ごとに災害時に逃げ込むシェルター建設に方向転回する方が良いのではないかという議論もあって良いはずだ。


 


 10年1日のごとく大マスコミも「増大する社会保障費を賄うのは消費税だ」と紋切り型の解説記事を掲載するが、なぜ「本当にそうなのか」と懐疑を差し挟まないのだろうか。そうした「消費税=社会保障費」といった議論はいつ、どこから出たものかを検証してみることだ。そうすれば財務省の御用学者や幇間評論家が唱えだしたことだと分かる。彼らが唱えだし、次に要領の良い・軽量級の口先政治家が鸚鵡返しに言い出したことだ。するとたちまち政界全体の「常識」と化して、テレビに出演する政治家たちはどれも同じように「消費税増税は避けて通れない」などと深刻そうな顔をしてのたまう。


 


 徴税権とはそもそも国民の「生命と財産」を守るために国家に認めた権利に過ぎない。その国民の「生命と財産」を守るべき国家が、社会保障費について「基礎年金の半額は国庫負担だ」というのは主客転倒していないだろうか。いつから社会保障は「保険制度」が主体となったのだろうか。そもそも「保険制度」とは何だろうか。所得と職業による新たな階級差別を年金世代の国民間に持ち込むための方便に過ぎないのではないだろうか。


 現役を退いた人たちに、現役世代の職業と所得による差別を行うには現役世代の間に支払った「保険料」による相違があると納得させる必要がある。決して支払った税による相違ではなく、帰属した「保険」組織と「保険料」による差別でなければならない。


 


 芸人たちは絶頂期に勤労者の生涯に支払う所得税以上の税を支払う者もいるだろう。しかし彼らが加入しているのは多くは「国民年金」だ。絶頂期が終わり、売れない芸人が国民年金の掛け金すら払えなくなったら「無年金」層へと転落する。それは勤労者でも同じだ。会社が倒産すれば国民年金者となり、失業により払えなくなると「無年金者」へと簡単に転落するだろう。ただ手厚い公務員法により擁護されている官僚たちは鉄壁な守りで手厚い「共済年金」を国民から徴収した税により貪れる。この構図の何処に合理的妥当性があるというのだろうか。


 


 社会保障の一体改革だ、というのなら、すべての「常識」とされてきた議論を根源まで遡って、一から議論を始めようではないか。さもなければ「百年安心年金」の愚を繰り返すことになる。官僚による官僚たちの誤魔化しに乗ってはならない。彼らのレクチャーを頭から信じた評論家たちの馬鹿げた思い込みをまず議論から排除しよう。「社会保障は保険制度」という常識も疑おう。それらは何のためにいつ創造された制度なのか、そもそも論から掘り返そう。そうしなければおざなりな「似非改革」により国民負担だけが増える結果になりかねない。



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