民主党政権は羊頭狗肉政権なのか。
実行するとしていた2009民主党マニフェストがことごとく破られている。政権交代から2年を経た今では全く逆のことすら行って恥じない民主党の野田氏が大きな顔をして政権運営をしている。彼らは国民と政権契約したマニフェストをどのように考えているのだろうか。それともマニフェストを作った当時民主党の要職にいなかったから関係ないと、官僚たちの指図に従って動いているだけなのだろうか。
確かにある一面では「現実的」な政策は継続されなければならない。そうしなければ中途で事業を放り出して膨大な「無駄」を生みかねない。しかし、膨大な無駄は事業が完遂されても「ダム」に関しては生み出され続けることになる。維持・管理費と称して、完成後も一つの会計項目が出来て、ダム管理事務所の所長以下、多くの職員が張り付くことになる。だが事業を中止すれば、それ以後は無駄な費用は発生しない。本当に「費用対効果」を考えて、地域の切実な要請に従って八ッ場ダムは事業化され、地域住民の同意を得て着工されたのだろうか。
なし崩しに税を投入して既成事実を積み上げて、ついにのっぴきならないところまで地域住民を巻き込んで、地域自治体の合意も何もないまま強引に進められた結果が今日の八ッ場ダムではないだろうか。ダムに注ぎ込む支流の一つが飲用に適さない酸性度を示すため、絶えず中和剤を注ぎ込まなければならないようだ。それなのに首都圏の水源として東京都知事は「必要だ」とのたまっている。東京都民はダム完成の暁には喜んでその「中和」された水を上水として利用するのだろうか。
他のマニフェストも惨憺たるものだ。まさしく『羊頭狗肉』の悪徳商法を民主党は行った、と非難されても仕方のない政党だ。それもこれも小沢氏を中心とする真正・民主党を排除して、ご都合主義の既得権益擁護派の連中が実権を握っているからに他ならない。民主党はそうした「既得権益」を排除する政党として出発したはずだったが、政権を取るやアッという間に自民党化して官僚の下請け政権に堕してしまった。ほとんど相違の見えなくなった自民党や公明党と民主党は合体して「官僚の既得権益擁護党」なる新党を作った方が分かりやすいだろう。真正・民主党はもう一度少数野党から出直して、今度こそ理念なき政治家を排除した政党として再生しなければならない。
あるいは小沢氏を中心として新党を結成して「既得権益」と対決する政党を立ち上げなければならないかもしれない。官僚たちがこの国の悪しきシロアリと化していることは多くの国民は知っている。知っているが個々人が出来る具体的な改革の手立てはない。あくまでも理念を同じくする政治家が政権を取って改革するしかないのだ。その希望が託せる政治家は自民党にも公明ともなく、民主党にあってもただ一人小沢氏だけだ。
すでに民主党は真正・民主党に立ち返るターニングポイントを超えてしまった。菅氏と野田氏によって、民主党は羊頭狗肉政党との評価が定まった。これ以上何を期待しても無駄だ。2009マニフェストを反故にした民主党は国民の信を失って解党する運命だ。