この国のピンボケ政治は何事だろうか。
野田氏は不退転の決意で「消費税増税を年内に取りまとめる」と発言しているようだ。現在の日本を取り巻く政治状況の何をどのように認識しているのだろうか、彼の見識と、それをさも重大事であるかのように大本営発表を繰り返す大マスコミにはウンザリだ。
そうではないだろう、日本を取り巻く政治状況で内にあって重大事は「降雪の時期」を迎えた被災地復興の早期の段取りと「特例・特区」などの法整備だし、外にあっては今週が山場だとされる欧州危機について独仏首相や米国高官たちが様々な場を通じて協議を重ねているというのに、日本の首相や財務担当大臣の動きがさっぱりなのはどうしてだろうか。その代わりに内向きの議論で終始し、開かれた衆議院予算委員会では大臣の失言や取るに足らない「政治とカネ」問題を上げて大臣を追求する、という相変わらず10年1日のごとき政治劇を展開している。この現実感喪失のバカバカしき田舎政治狂言回しに飽き飽きしていない国民がいるとでも思っているのだろうか、政治家と政治記者たちは。
そうではないだろう。たとえ日本が実質米国のポチで日本抜きで話し合っても米国が承諾した協議結果を示して奉加帳を回せば日本は従来通りに黙って割勘を支払うと、欧米主要国がタカを括っているにしても、日本は最低でも担当部局の高官を派遣して欧州危機の話し合いに加わるべきだ。そこで欧州危機を回避すべきと日本の協力姿勢を示すべきだが、同時に日本「円」の高騰について「日本もその被害者だ、何とかしろ」と国際為替管理機構の構築などを提案すべきだ。一度ぐらいは「日本国首相が協議の場に参加していない取り決めの割勘に日本国民の税を支払えない」と、勝手に作られて廻ってくる割勘の奉加帳に難色を示してみることだ。
それこそが日本の国益につながる政治的動きであって、国内で足の引っ張り合いを演じて得々としているなどとはまるで学生のリベート大会を演じているのかと嘆かずにはいられない。
この国の政治と政治報道記者たちの幼稚性はいつまで続くのだろうか。野田首相は「不退転」の決意をすべき相手を間違っている。底の抜けたバケツの修理の方が先なのは国民は誰もが思っている。その上での増税だろうが、今の超円高とデフレ経済下で増税はあり得ない政治選択だ。バカなことに「不退転」の決意をしたものだ。「不退転の決意」とは出来なければ退陣するということだ。
2009マニフェスト破りの野田政権に何の正統性もなく、たとえ腕力で「不退転の決意」を実現したところで、小沢氏を中心とする真正・民主党が割れればその場で民主党は瓦解する。結局、財務官僚に操られて国民不在の政策を打ち出したものの、「不退転の決意」など出来はしないからさっさと退陣しなさい、と野田首相に言うしかない。