円高対策に全力で取り組め。

  日本経済を破壊しかねない円高水準だ。輸出関連企業は軒並み為替差損の重圧から決算予想を下方修正している。総じて赤字転落が必至で、税収がますます落ち込むのは火を見るよりも明らかだ。


 米国オバマ大統領がドル安政策を実施した折に言った「失業を輸出して米国経済を立て直す」と宣言したが、米国の失業問題は未解決のまま、日本に失業を輸出することだけには成功したようだ。それが同盟国の日本への仕打ちだとよくよく認識しなければならない。


 


 やっと財務省も円高対策に手を打ち出したようだ。為替特会の積立金90兆円を海外投資支援基金として利用しようとしているようだ。しかし円高を背景に海外の資源確保や企業展開の開発投資は逆に円を強くする方へ働きかねない。しかも財務省の利権がますます肥るだけで、政治家より財務官僚の権限拡大につながり官僚内閣制が定着する作用の一つになりかねない。さらに安住財務相が「極端な投機資金による円高には対抗措置を取る」と発言したようだが、極端な投機資金とはどの程度をいうのだろうか。現行の円高をもたらしている日本国の通貨円への投機資金流入は「極端な投機」ではないと見做しているのだろうか。


 


 さらには国際的に為替への投機を規制する話し合いを持ったようだが、何を以て投機と見做すのか、そしてどのような規制対策を取るのか、といったことから進展がなかったようだ。為替投機は米国の投機家たちが安直に行う「デイトレード」のようなものだ。しかも彼らにとって恣意的に動かせて、簡単に為替レート変動という利益確保といった結果が出せる甘い蜜のようだ。米国の著名な投資家は日本円は今後とも高く推移するだろうと発言している。つまり年末年始も現行の円高水準でいくと決めたようだ。


 このような主客転倒した事態を放置していて良いのだろうか。そもそも為替レートは貿易手形決済に用いる通貨交換レートのはずだ。それが貿易実態を伴わない投機資金が膨らみ続けて実体経済規模の十数倍から数十倍の投機資金が為替決済機関に流れ込んでいる。それでは実体経済はたまったものではない。金融経済が大きな顔をして、物の交換決済手段だった通貨レートを歪めてしまった。実体経済を担う製造業や農林産などの輸出産業は金融投機家たちの餌食になって仕舞うだけだ。


 


 投機資金による金融経済はいわば博奕の経済だ。物を作って実質的な富を生み出すのではなく、投機によって富の移転を行い利益を手にする。


 投機家たちに実質的なダメージを与えなければ投機家たちの跳梁跋扈はやまないだろう。それには円のマネーサプライを増やすことだと初級の経済原論の本にも書いてある。そうした簡明なことをなぜ通貨当局はやらないのだろうか。そしてデフレ下の増税は経済をさらに悪化させる、と初級の経済学の本にも書いてあることを、日本政府はなぜ釈迦利器になって実行しようと目論むのだろうか。日本政府と日本通貨当局はどのような立場にあって、誰のために働いているのだろうか。大きな疑念を抱かざるを得ない。


 


 日本国内から製造・輸出業を海外へ追い出し、日本国内の一次産業を壊滅状態にしたいのなら円高とTPPをセットにして実行すれば良い。そうすれば確実にそのような結果になる。


 政府は日本国民のためにならない政策に驀進していると断じられても仕方ないだろう。バカバカしいことにこの期に及んでも政府与野党は「復興庁構想」という利権の積木細工を作る綱引きを演じている。そうした枝葉末節の官僚たちの利権調整はほったらかして、一日も早く政府支出金を災害被災した各県に30兆円規模をばら撒くことだ。地方のことは地方に任せれば良い。


 実体経済に対しては実体経済で対応できるが、金融投機経済に対しては所詮通貨とは想像の賜物で「幽霊だ」と知らせることだ。それには実体のないマネーサプライで応じるしかないだろう。


 災害復興の巨額公共事業を巡って、中央官庁や官僚たちが綱引きをして遊んでいる間に、早くも被災地に雪が降り始めた。無責任とはまさしくこのことだ。雪解けまで被災者は身動きが取れなくなった。長く厳しい冬を彼らは過ごすことになる。政治家の責任の大きさを彼ら全員が自覚すべきだろう。



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