社会保障を再構築するには、

  行き詰まりを見せる社会保障の立て直しで、財源の多くを現行の保険制度に求める限り少子社会では困難だろう。負担する世代を現役勤労者世代に限定し、退職世代を支えるとする制度は米国の企業年金を手本にしたものなのか、その維持には右肩上がりに人口も経済も増加するものでなければならない。しかし現実に少子社会となり経済成長も現行制度へ移行した1985年当時では想像できなかったほど低成長に陥っている。


 


 民主党が2013年に抜本改定案の提出を目指している、というのなら年金・医療・介護などに導入されている保険制度そのものから見直さなければならないだろう。 


 たしかに医療保険や年金保険費用として給与から天引きされるとその額の多さから毎月深刻な問題だと捉えざるを得ないが、その反面社会保障に関心を向けざるを得ない。有権者がいろんな制度に関心を持つのは政策チェックの面から望ましいことだが、それにはすべての情報を開示して全体像を提示しなければならないだろう。


 


 たとえば医療費の総額が35兆円を超えたと報じられると誰もが「そんなに多いのか」と考える。2011年度予算総額が92兆4千億円でその内社会保障費が31.1%を占める28.7兆円と報道されている。厚労省が言う医療費が35兆円を超えたという金額は何処からでたのか、と誰もが疑問に思わないだろうか。


 予算に計上されているのは「財政支出金」に限られている。つまり税金から厚労省の医療費会計に繰り入れられている金額12.9兆円だけが歳出に計上されているに過ぎない。あとは保険料の事業主負担分7.1兆円、保険料の被保険者分9.8兆円、患者負担分4.9兆円によって総額35兆円が構成されている。


 


 当たり前の話だが、医療費もすべては国民(事業主負担分も所詮は国民負担に過ぎない)が負担している。それが何処からどれほど徴収するかにかかっている分担の仕組みの話を延々と続けているに過ぎない。抜本改定といっても、所詮はどの国民にどれほど負担させるのか、という話だ。


 ただ気を付けなければならないのは医療費といってもすべてが患者に注がれた医療行為に関わる費用だけではないことだ。金額や割合は少ないかもしれないが医療保険従事者に対して支払われる給与も「医療費」にカウントされている。その従事者数たるや実に膨大だ。それだけではない、外郭団体や補助団体なども国だけではなく地方自治体にも無数に貼りついている。


 


 制度そのものを見直さなければ保険事業を主体とした医療費会計の仕組みは持たないところに到っている。所詮はすべて国民負担となる会計ならば、すべてを税負担にしてはどうだろうか。そうすると「日本の税率は低い」だとか「公的負担割合は先進国の中でも低い」といった馬鹿な議論はなくなるだろう。第一に源泉徴収する事務手続きも簡素化されるし、水道管に貼りついた錆のような各種団体が一掃できる。国民も税で一本化されるとこの国の税率が異様だと気付くはずだ。


 


 社会保障費を目的税とした消費税ですべて賄うとする案がでたりするが、その議論には賛成できない。そうすると消費税が想像を絶するほどの高率となり、国民経済に与える影響は計り知れない。貧乏人に死ねというのに等しい結果になるだろう。


 そして医療現場に於いてもカルテの電子化とレセプト管理も電子化されたカルテに連動させて行うことだ。そうすれば無駄な二重管理も必要なくなるし、薬の誤処方もシステム管理で防げるだろう。そして国民番号制と連動させれば医療所による不正請求も防げるだろう。医療費が天井知らずに増大し続けることなど限られた人口に掛かる医療ならあるはずはない。高度医療がなされるから、という理屈があるが、高度医療を必要とする患者が実際にいくらあるのか電子化されたカルテで管理すれば過剰診療も管理可能となる。


 


 社会保障は国民全員の問題だ。それを財務省や厚労省の細分化された情報提示と名目を分かった「税」と「保険料」という別概念であるかのような議論は不毛だ。すべては国民負担であり、どの層にどれほど負担させるかという議論なら税目と税率で吸収することは可能で、すべては税に集約できるだろう。


 国の仕組みは出来るだけ簡素化することだ。複雑怪奇な会計には官僚たちの利権が絡んでいると看破しなければならない。このIT時代で未だにカルテが電子化により国家管理より統合されていないとは驚きの一語だ。



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