橋下氏勝利は国会議員に対する「働け」という叱咤の声だ。

  かなりハードルの高い大阪都構想の実現はともかく、大阪市長選の投票率が60%を超えたのは近年にない高投票率で、その結果に対しても大阪都構想の意味するところを汲んで行政改革と地方分権を推進しなければならない。


 


 大阪都へ移行するハードルの高さは各紙に解説記事が書かれているから省略するが、橋下氏に投じられた真意は行政に対する有権者の強烈な不信感ではないだろうか。まず第一に道路行政に見られるような非効率極まりない行政の在り方だろう。同じ有権者が利用する道路がある基点から国道であったり府道であったり市道であったりする。そこを同じように職員が同じような車両を使って巡回したりする。


 


 第二に行政の制度事業が国から都道府県にさらに市町村へと水が上流から下流へと流れるようにそれぞれの部署へと事業命令が流れるに従って同じような補助金団体がまつわりつき、最終的に事業を行う予算の「真水」は痩せ細って何分の一かということも珍しくない。最近新しく作られた制度ではIT機器を使って直に事業者から都道府県の所轄担当部署へ直接ネットで請求や報告を上げるようになっているようだが、以前からある事業に関しては依然としてそれぞれの関所を経て国へ報告されている。


 


 第三に同じような事業を国や都道府県や市町村が行っている不合理を排除すべきだ。例えば公営住宅のあり方がある。国も厚労省の雇用促進住宅や特殊法人の公営住宅があり、都道府県にも公営住宅があり市町村にも公営住宅がある。それぞれが同じような仕事をしているにも拘らず何らかの名目を設けて必要性をアピールし、同じように職員を擁している。国民から見れば看板はどうであれ公営住宅であるのに変わりない。一元化すればどれほど無駄が省けるだろうか。


 


 こうした議論はこれまでも様々な評論家が指摘し、国会議員が改革を行うと選挙で公言し、2009民主党マニフェストにも掲げられている。しかし一向に地方分権の国会議論は進まないし、ましてや道州制に関しては推進するといった声すら聞こえて来なくなった。国会議員は一体何をやっているのだろうか。官僚を含めた明治維新以来のこの国の仕組みが錆びつきガタが来ているのを横目に見て「政争」に明け暮れしているのは何とも情けなく腹立たしい。


 


 憲法規定を取り出すまでもなく、官僚は政府閣僚の手足となって働く行政職員だ。それが恰もそれぞれの省庁の主のような顔をして仕切っているのがおかしいとなぜ感じないのだろうか。国に於いても局長以上の高級官僚は一度辞表を出して民間企業並みに「年俸制」へ移行すべきではないだろうか。そして政府・政権が代われば米国並みに(米国では5000人ほども高級官僚が入れ替わるという)官僚たちも政権と運命を同じくすべきではないだろうか。鳩山氏は官僚の裏切りとサボタージュで政権を失ったのは紛れもないし、野田氏もTPPなどを巡って官僚たちに好いように回されている。こんなバカバカしい現状に対して憤慨しない国会議員とは何者なのだろうか。


 


 橋下氏の都構想はおそらく頓挫するだろう。四年間で様々なハードルをクリアして大阪都を実現するには余りにも手続きが多過ぎる。市議会や大阪府議会や国会の全面協力があっても4年間では覚束ないほどの煩雑にして膨大な手続き規定がある。行政はそれほどに自分たちの地位と職場を守るためにがんじがらめの手続き規定で官僚組織を要塞化している。その要塞に対して一発の自爆テロに橋下氏を終わらしてはならない。国会議員の猛省を求めてやまない。



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