環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に日本が加盟した場合の経済効果とは

  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に日本が加盟した場合の経済効果をめぐり様々な試算が出ていたが、政府は「10年間で2・7兆円」という数字を示した。これまでTPP加入推進派の経済産業省はTPPに加盟しなければGDPが10・5兆円減少するとの数値を発表し、逆に慎重派の農林水産省は農業関連のGDPが7・9兆円減少するとの試算を公表していた。両者の数字を足して2で割ったほどの効果しかないと明らかになった。


 


 それでも推進派は他に数字に出ない「規制緩和」や「サービスの提供」により試算の3倍から10倍の効果が出ると野村証券金融経済研究所の川崎研一・主席研究員は主張しているようだが、新自由主義主たちは規制緩和で日本は良くなる、として派遣などをはじめ輸送・運送業などの規制緩和を進めた結果どうなっただろうか。


 


 最も規制緩和すべきは民間企業ではなく官僚たちの持っている利権ではないだろうか。たとえば何か事業をやろうとすると様々な規制があって、その規制ごとに資格者の設置が義務付けられることが多く、その資格者のための官僚たちの天下り団体があって、その団体による講習会が年次を決めて有償で実施されるという実態がある。それらもTPPでは貿易障壁として問題とされて撤廃されるのならTPP推進の好材料だが、そうした議論まで踏み込んでなされるのかはトンと分からない。


 


 野村証券金融経済研究所の川崎研一・主席研究員が規制緩和やサービスの提供により経済効果は政府試算より数倍以上あるとしているのがそうした指摘からなのだろうか。しかし反対に規制が緩和されて例えば老健などの施設に外資が参入して介護士への現行制度が大幅に緩和されて東南アジアの人たちがドット日本にやって来た場合を考えておく必要もあるだろう。そうすると経済効果は必ずしも失業率の改善に役立たないということもありうる。それはもっと医療の場で顕著に現れるだろう。


 


 官僚たちの仕事が官僚組織の独善から解放されて外資が参入するのもいかがなものだろうか。例えば入札や作業外注に参入する企業に課されているバカげた様々な「資格」規制などに関する規定が撤廃され外国企業が大挙して参入した場合なども想定しなければならないだろう。


 さらに日本で実施しているコメの等級認定もカリフォルニア米の貿易障壁だと訴えられれば等級認定も撤廃され、産地表示も貿易障壁だと訴えられれば産地表示もなくなることを想定しなければならない。


 


 そうしたすべての事態を想定してTPP議論はなされているのだろうか。米国はTPPにより失業を日本に輸出し、日本の社会的な安全・安心を奪い取ろうとしている。


 関税や規制撤廃のTPP議論よりも実質的な関税として日本の輸出産業に立ちはだかる為替レートの投機家たちによる操作こそ問題とすべきではないだろうか。現在の1㌦75円台は異常事態だといわざるを得ない。実態貿易を反映しない為替レートは実貿易を阻害こそすれ国民経済に良好な影響を与えない。


 


 米国は客観的な製品で評価できる製造業では日本に太刀打ちできないが、恫喝や脅しでは大人しい日本国民に対して優位に立てると踏んでいるのだろう。米国流の屁理屈で日本の労働環境は良くなったか、国民は米国流が何かをしっかりと見極めなければならない。



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