票を持たない子供たちが未来の日本を担う。

  韓国では学費値上げに対して大規模な反対運動が起こっていた。値上げにより韓国の私立大学は8519ドル(86万円)となり学生を中心に反対運動が起こっていたのだが、それに対して政府は総額1兆5千億ウォン(1080億円)の奨学金を設置することにしたという。支給対象は申し込んだすべての学生で、生活保護世帯の学生には年546万ウォン(39万円)で高所得者の学生にも38万ウォン(2万7千円)支給することになった。


 


 日本でも学費の高さは貧困世帯の進学率に影響を与えている。国立大学ですら現在の学費は年63万円と異常に高く、かつて団塊世代が進学したころの年1万2千円は当時の公立高校の学費よりも安かった。それが私学との差を縮小する、という理由から値上げに次ぐ値上げが行われ、国立大学とは思えない異常な高額授業料となっている。


 


 しかし深刻なのは大学の授業料が高額なことよりも、大学に進学するまでに既に存在する所得格差による教育格差が高校時代の生徒に現れていることだ。ゆとり教育の弊害が現れる以前から、公私を問わず有名大学へ進学するには高校教育だけでは不十分だとして塾へ通うことが常態化していた。それが貧困家庭の子弟に進学を諦めさせる要因の一つになっていることだ。


 


 ちなみに東大入学を果たした子供たちの家庭の年収が平均家庭年収よりも高額だという調査結果が公表されて久しい。貧困家庭は子供を進学塾へ通わせることが国難で、有名大学へ進学することを諦めなければならない事態が存在している。


 安易な「出世コース」に乗れない格差を主張しようとは思わないが、この国の依って立つ教育立国の理念からするとあらゆる子供たちの進学決定要因が家庭の貧富によるのではなく、子供の能力に依るのが最も公平な社会のはずだ。この国が貧富にとらわれない公平な社会であり続けようとする仕掛けが壊れていることを憂える。


 


 大学の四年間は決して無駄ではない。たとえ偏差値の低い大学であろうと、学問することを学ぶのは長い人生にとってプラスだ。現在では進学を希望するすべての子供たちが入学できるほど大学が全国に造られ、教育を受けられる環境は整備されたが、それらの大学のすべてが「教育機関」とは言い難く「企業形態の一つ」として大学を選択したのではないかと思われるほと゜お粗末な大学も存在するのも確かな現実だ。しかし、それでも子供たちが望むなら大学進学を叶えられる社会の在り様の方が未来を見据えた社会ではないだろうか。


 


 現行の貸与方式の奨学金ではなく給与方式の奨学金を拡充して、まずは進学を望む子供たちが家庭の経済環境に心を痛めることなく進学できるような社会を作ることが、現在の大人たちの責任ではないだろうか。そして進学塾に依存している入試テクニックの伝授が無効になるような大学入試のあり方と高校教育の在り方を真剣に考えなければならないだろう。



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