米国との軍事同盟は再考の必要がある。

  「主張」氏の考え方は問題だ。まず自主独立を目指すのは良いが、現行の日米安保条約が「片務的」だとして、日本も米国が攻撃された際に共に戦う「双務的」とすべきというのはいかがなものだろうか。


 米国の敵は同時に日本の敵なのだろうか。米国の規定する「テロ」国家は日本にとっても「テロ」国家なのだろうか。米国は「テロ」支援国家だと独断して国連の同意も取り付けないうちに「多国籍軍」を構成してイラクに侵攻した。そして米国傀儡政権下の裁判でフセインを処刑してしまった。そうした価値観までも共有する国家として日本は小泉政権下に自衛隊をサマワに駐留させた。それもすべて日本の国益に適うことなのだろうか。


 


 しかし、同じく「テロ」国家だと規定している北朝鮮に米国は侵攻していない。フセインは化学兵器を使用し核兵器すら開発しているケシカラヌ指導者だと規定して排除したが、北朝鮮の金正日は核兵器だけでなくミサイルまでも開発しているが彼を排除するために北朝鮮に侵攻していない。その理由は様々揣摩憶測を呼んでいるが、米国のそうしたダブルスタンダードに日本も軍事的に付き合え、という主張だとしたら大変危険なことだといわざるを得ない。


 


 「主張」氏は米軍によるビンラディン氏殺害のような作戦に関しても、今後の日本はコミットすべきだと軍事同盟で規定するつもりだろうか。米国は世界のどこにでも「暗殺部隊」を派遣してケシカラヌと規定した人物を殺害する。それは国際法で認められたことなのだろうか。国際的な取り決めのない軍事行動は「テロ」と何ら変わらない。米国の基準による「テロ」規定は、しかし国際的な視点から見て公平・公正なものとは必ずしもいえないだろう。立場によっては是認できない国も世界に存在するだろう。そうした是認できない国と日本は敵と認識して米軍とともに戦うのだろうか。ともに血を流せ、という「主張」は日本の基準ではなく、米国の基準で、ということなのだろうか。それなら双務的とはいわない、米国の属国としてというべきだろう。


 


 米国は中東でイスラエルを支援する立場を明確にし、アラブ・バレスチナを敵視している。日本も米国と同じ立場に立って、中東で軍事展開をすべきだと「主張」氏は考えているのだろうか。タリバン支配のアフガンは好ましくないとして米国は軍事侵攻してタリバンを首都カブールから追放して傀儡政権を樹立した。しかし国民は支配者がタリバンであろうと傀儡政権であろうとどうでも良く、日々の暮らしに平穏な治安が保たれれば指導者が誰であろうと構わないのだ。


 米国は「民族自決主義」を世界に提唱したのが米国の大統領だったことを忘却したのだろうか。それぞれの国にはそれぞれの宗教があり人生観があり価値観がある。それを米国流の価値観と相違する場合はすべて非民主的で抑圧的だと規定するのはいかがなものだろうか。規定するだけならまだしも、それを梃子にして軍事侵攻する「自由」が米国にあるのだろうか。それと付き合うことが日本の国益に適うことなのだろうか。


 


 日本はアジアの一員として地域の安定化のためにこそ力を注ぐべきではないだろうか。中国と遠く離れている米国は中国の軍事的脅威に直接さらされているわけではない。むしろ中国に韓国と日本の米軍事基地を利して軍事的脅威を与え、中国との二国間交渉を優位に進めてきたのは米国の方ではなかっただろうか。米国にとって韓・日の軍事基地は対中・対ロ外交に於いて米国にとって優位性を確保する切り札だった。しかし対中に於いて米国との経済関係の激変で米国は中国の協力なくしては「破綻」すら直面させられる状況になっている。米国債の世界最大引き受け国が中国だからだ。


 冷静に考えれば、むしろ米国が中国と手を握って日本に侵攻してくる事態すら「想定」しなければならない国際環境にあることを視野に入れておかなければならない状況にある。日本の国家としての独立維持を考えるなら、米国との軍事同盟の深化よりも、日本の軍事力の増強、とりわけ攻撃力の整備に力を注ぐべきだ。攻撃力を伴わない防衛力はあり得ない。国民に対して議論提起すべきは日本の国を守るのは日本国民だということではないだろうか。


 安易に米国と「双務的」軍事同盟を結んではならない。必ずしも米国の敵は日本の敵ではないし、日本の敵はどうやら米国の敵ではないようだからだ。



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