「野田新政権」に何を期待するのか。

 増税派の「野田新政権」成立により国民経済が好転することは遠のいた。しかも増税により景気が悪化して、税収はそれほど増えないと思われるから財政再建にもそれほど資するとは思われない。つまり民主党は最悪の財政健全派首相をこの時期に選択したことになる。


 


 元々が松下政経塾出身の野田氏は財務官僚的発想を持っていたのか、菅政権閣僚の中でも与謝野氏と並ぶ財政健全派の政治家だ。つまり国民の生活がどうであろうと、国家財政の方を優先する政治を行う可能性がある。昨日の代表選演説では「中間層が薄くなったことが問題だ」と発言していたが、その認識自体が徴税者の発想だ。


 


 この国の現在の病理は老後の生活に安心が見いだせないことだ。官僚たちのように手厚い「天下り」や高額支給の「共済年金」でガッチリガードされている連中には決して解らない絶えざる不安だ。厚生年金受給予定者の数が激減し、国民年金受給者の数が増えているが、その国民年金の掛け金を掛けていない割合が4割を超えて無年金者が増えている。それにつられるように健康保険料未納者の割合も12%となり、強制徴収による競売が増えているという。


 


 国が国民にすべき一義的使命は「生命と財産の保全」だ。国民の生命と財産の保全を行う国家コストとして税の徴収がある。義務教育で「三つの国民の義務」として教えているのは 「勤労の義務と納税の義務と教育の義務」だ。保険料納付の義務とは教えていない。つまり国民生活の基本を保全するコストとして国民は納税しているといわなければならない。国は税で以て年金も健康保険も賄うのが本来の姿だ。現在日本の基本的に保険制度で賄い、税の投入はその補完として行うのは正しい姿とはいえない。そうした議論もせずに「共済年金」だけが1/3は個人負担と言いつつ、原資を考慮すれば結局全額税で賄うというのはいかがなものだろうか。現役時代の職種による「差別」を放置して年金議論を百万回行おうと国民の全般が納得できる年金制度は構築できないだろう。


 


 少なくとも「自営業」の政治家が年金や保健などの社会保険会計議論を主導している限り結論にいささかなりとも期待できたが、政治主導から官僚主導へと民主党政権が変貌するにつれて期待できなくなった。そして今回の「野田新政権」だ。財務省主導となれば官僚の既得権は徹底して擁護され、つまり公務員改革は「目くらまし程度」でお茶を濁して国民に重い負担を求めてくると予想される。恰好の例が「財務省のお膳立てによる事業仕分け」がどのような結果になったか、惹起されれば簡単に判るだろう。ショーとしては面白かったが、結果として冗費が何円削減されただろうか。


 


 公務員改革は現行制度を前提とした改革である限り「お座なりのもの」にならざるを得ない。税や公共料金などの国への歳入は「歳入庁」への一元化と国際基準会計たる「複式簿記」への会計システムの移行、さらには医療クラウドの構築によるカルテの電子化と医療情報の一元管理を実施すべきだ。そうした国家システムの改変なくして大幅な公務員改革は出来ない。戦後行政によりこの国に澱のように溜まった公務員の無駄な仕事や非効率、さらにはIT化時代を嘲笑うかのようなシステムの不採用は「個人情報」などを梃子にした官僚のサボタージュと言わざるを得ない。


 


 そうしたことを民主党政権に期待していた。官僚内閣制と揶揄された自民党政権では決して出来ない、として国民は政権交代に期待した。しかし民主党もアッという間に議員内閣制から官僚内閣制へ変貌してしまった。その官僚内閣制菅政権の中枢に松下政経塾出身政治家たちがいた。その一人が野田氏だった。


 野田氏へ一票を投じた民主党国会議員はそれでも野田新政権に期待しろと国民に言うのだろうか。野田新政権の政策は既に分かっている。国民は不況下の将来展望のない増税・増負担による官僚天国社会が展開されることが見えている。


 民間人では東京都知事だけが増税派の野田新首相を歓迎しているようだが、新銀行東京で1000億円以上も東京都民に負担を及ぼしても、いささかも痛痒を感じない都知事の応援は鉄面皮の野田氏にはさぞかし有難いことだろう。



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