システム設計は何処が行っていたのか。

  この国の公的なシステムは統合の方向ではなく、ますます個別的な分割へと突き進んでいるようだ。<東京都後期高齢者医療広域連合は16日、後期高齢者医療制度で医療費の自己負担限度額を超えた場合に支給される「高額療養費」の支給決定通知書に誤記載があったと発表した>との記事を読むとそうした感慨を覚える。


 


 おそらく東京都後期高齢者医療広域連合で使っているシステムは厚労省から提供されたもので、汎用システムを加工して東京都後期高齢者医療広域連合が独自で使っているとは思えない。厚労省も省内の職員で開発したものではなく、委託事業としてシステム開発業者に丸投げし、実際の運用もシステム開発会社の職員が当たっていたのではないかと思われる。


 


 洗練されたシステムなら当然エラー排除の仕組みが組み込まれ、たとえば月日の打ち込み箇所では月欄に12よりも大きな数字が打ち込まれれば「エラー」として認識し、日欄でも31より大きな数字が打ち込まれれば「エラー」として警告するようになっているものだ。金額欄は最大と思われる桁数を超えれば「エラー」として警告し、当然総額もアウトプットされ一目瞭然で「エラーチェック」できるようになっているものだ。


 


 80月や何兆円という支給額は見た目ほど大きなエラーではない。データを打ち込む人がブラインドタッチで流れ作業で打ち込む際にどこかで欄を一ヶ所間違えたまま続けて行えば起こりうる「エラー」に過ぎない。ただそれを「エラー」と認識して警告するシステムになっていなかったことの方が問題だ。


 


 この国はいつまでこんなバカげたことをやっているのだろうか。あらゆるシステムが単独のぶつ切りで国家として統合された大きなシステムに組み込まれていない。それもこれもすべての根源は単式簿記のいい加減さにある。そして各所で発生するシステム開発は民間システム開発会社にボラレて驚くほど高額にして独善的なシステム設計のものがゴロゴロしている。それを有償で関連する民間業者に強制的に使わせている「制度事業」もゴマンとある。


 


 東京都後期高齢者医療広域連合で使ってミスを犯したシステムなどは簡単な算式の繰り返しに過ぎず、オフィスのエクセルの簡単な関数処理でできる程度のものだ。


 実は官僚が行っている仕事はすべて法律に基づき、ロジックがきちんとしているからシステムに組むのに大した困難はない。世間のシステム開発と比較すればチョロイ部類に属するものだ。それがシステム開発外部委託費として莫大な金額が予算計上され、システム維持・管理費として毎年莫大な金額が計上されている。全国の地方自治体も含めてこの国で公的なシステム費が毎年いくら使われているか、一度検証してみると良いだろう。


 


 個別のシステムのバカ高さだけではない。国家として統合されたシステムがない弊害は官僚たちの恣意的な裁量権の確保に繋がり、コストの上昇をもたらすことになりかねない。この国では従業員数十人程度の民間会社であれば当然のように統合されたシステムが存在し、個々のシステムはそれぞれが有機的な繋がりを持って相互にエラーチェックするような仕組みに作られているものだ。それが国家レベルになると突然そうしたシステムが消滅するとは驚くばかりだ。几帳面な日本国民の気質にして、官僚たちの仕事のいい加減さは何だろうか。


 


 今回の東京都後期高齢者医療広域連合の処理ミスを看過することなく、大きな闇が国民の前に見えた一瞬だと思わなければならない。国会議員は政局に明け暮れするのもほどほどにして、時には官庁に出入りしていないシステム開発会社のSEの話でも聞いてみることだ。



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