「深刻な電力不足…」と報じるが、事実なのか。

 何度も書いたことだが再び書かざるを得ない。しつこい人物だと思われるのは本意ではないが、しつこく書き続けなければならないのは大手マスコミが国民世論を「原発ありき」へ誘導しようとしていると思われてならないからだ。


 


 「深刻な電力不足を背景に」原発再開を望む電力各社に首相が配慮して歯切れが悪くなっている、と産経新聞は報じているが、その枕詞は本当に正しいのだろうか。


 なぜなら震災・津波による損害を被ったのは東電と東北電力だ。東電は福島第一原発が停止して「電力不足」に陥っているとして15%の節電を顧客に訴えている。しかし東北電力は女川原発こそ被災を免れたが、何ヵ所かの火力発電は被災した。しかし東北電力はそれほど「深刻な電力不足」に見舞われていないようだ。


 


 その代わり、今回の震災とも津波とも無縁だった関西電力が「電力不足になった」として節電をお願いしたり、九電が定期点検で停止していた玄海原発を急いで再開すべく「小細工」を弄してみたりと、電力会社の何割かはおかしな行動をしている。それを大手マスコミは非難するどころか「原発を停止すると深刻な電力不足に陥るのだゾ」と国民を脅しているかのようだ。


 


 常識的な論理からいけば「地域独占」で電力需要を一手に賄ってきた電力各社が音を上げたのなら「地域独占」という特権を与え続けても意味がないということになる。そして安定的に電力を供給するには従前の地域独占体制を廃して、様々な企業が自由に参入できる体制へ移行すべきが順当な考え方だ。電力の自由参入が担保されて初めて各企業は本気で発電事業に乗り出すだろう。


 


 世界各国の電気料金の二倍ほどと高額な料金体制を国民や企業に強いている地域独占電力会社が、最大にして必須の義務たる「電気の安定供給」を果たせなかったのなら、既に地域独占企業としての存在意義を失っているといわざるを得ない。


 公取委は直ちに独禁法を適用して発・送分離を電力各社に通告し、地域独占を廃止すべく国に勧告すべきだ。大手マスコミも「深刻な電気不足…」だとして節電を国民に呼びかけるのも結構だが、本質論議に踏み込まなければいつまでもこの国の電力各社の体質は何も変わらないだろう。


 


 国内企業や国民に高い電気を押しつけて、社員は民間企業平均の二倍近い平均年収を手にし、退職後も厚生年金の二倍もの企業年金を受け取るとは何事だろうか。


 競争原理の働かない特殊な企業が社員給与や年金に甘い体質なのは電力各社に限ったことではない。各省庁を取り巻く「離れ」の各種団体にも当てはまる。そこへ国民の税がタダ漏れに注ぎ込まれているのだ。


 日本の一般会計国家予算が92兆円もあるにもかかわらず、それほど手厚い行政サービスを受けている実感がないのはなぜだろうか。


 


 「節電」を呼び掛けるのと同じ程度で「電気事業の在り方」を国民に問うべきが大手マスコミのあるべき姿勢ではないだろうか。もちろん想定を超えた事態が起こり深刻な放射能事故を起こしたからには原発は廃止すべきが正しい選択なのは言うまでもない。


「子や孫に負担を押し付けない」とは増税論議の時だけの枕詞ではない。原発稼働に伴う膨大な放射性廃棄物を処理せずに積み上げているだけの現在の原発行政こそが子や孫だけではなくこれから数千年も日本国民に負担を強いることを肝に銘ずべきだ。「原発が安価な発電方式」という大ウソを、大手マスコミはこれまでさんざん報じて来たが、トータルコストを原価に算入していないモノを原価と称するペテンを止めるべきなのは言うまでもない。



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