何んとも浅薄な論評だろうか。
産経新聞ともあろうものが、この程度の評論を掲載するとは紙価も地に堕ちたものだ。菅氏の発言そのものがダメだというのなら主観の相違だ。その根拠となるべき電力総量の積み上げがマトを得ていないという点からいえば全くその通りだ。しかし各省庁に出せ、と命じたのがダメだというのではなく、電力事業を地域独占から自由化して、新規参入に市場原理を働かせれば良いだけだ。そうすればワンサカと新規民間企業が参入して、御用学者が「自然エネルギーで原発部分の電力需要量を賄えだろう」と御宣託を垂れる必要もない。
そうした発電企業の仕組みを改めない限り、地域独占という民間企業にとって夢のような蜜の味を決して手放すことはない。つまり現体制の電気事業者が利権を擁護できる範囲でしか自然エネルギーの代替を認めないのは火を見るよりも明らかだ。
まずは東電の総資産を売却して放射能事故の補償にすべてを充てるのが民間企業の常識だ。「ゆっけ」で死亡食中毒を起こした焼肉屋はどうなったか、耳目に新たなはずだ。そうすべきが常識で、東電解体を端緒として電気の自由化を推進すれば劇的に自然エネルギーの参入が促進されるだろう。
発電事業者と提灯持ち大手マスコミのレトリックにより、太陽光発電は高額だ、と約使用料金の倍近い買い取り電気料金をあげつらうが、自家消費する分については何も論評しない。つまり余った電気を売電した場合の価格についてKw48円としているだけだ。ただ、そうした価格体系も廃止して使用料金と売電単価を同一にすべきだと思う。それに耐えられない発電装置は淘汰されるのが自由市場の在り方だ。
太陽光発電パネルを設置する者もその程度の「お得」に飛びついて大枚240万円前後を投じるのではないだろう。政府・経産省も電力会社と一緒になって余り国民をバカにしない方が良い。
各地の地域独占発電事業者も東電解体を手本にして発・送電分離により発電事業の自由化を始めれば、あっという間に新規参入により電気の余剰に悩むようになり、高額な元の発電事業者は撤退せざるを得なくなる。なぜなら発電原料の石油や石炭を相手の言い値で買っている「原価意識欠如」の殿様経営なら自由市場では淘汰されるのが明らかだ。
役割を終えた「地域独占」体制を維持する必然性は何処にあるのだろうか。経産省官僚の利権擁護のためにこの国と国民は存在しているのではない。主客転倒した官僚も自由市場から調達できるようにしなければ、官僚の劣化はとどまるところを知らないかのようだ。