閣議決定による増税見込みは改革を殺ぐことになる。

  民主党は政権交代2009マニフェストで示した改革をまず成し遂げなければならない。菅氏が首相として取り組むべきは政権獲得後に財務省から要請された「増税日程」の明示ではない。しかも、米国民間会社の格付け会社による日本国債評価が更に低下するから、という理由で閣議決定すべきというのは理由にならない。


 


 確かにこれまで日本の政治は「黒船」によって変革を迫られたことは多々ある。その結果、国民は改革の嵐に巻き込まれて散々苦しんできた。


 米国民間会社の格付け評価ランクで日本の格付けが下がって何がどうなるというのだろうか。それによって日本国債が暴落し、日本がハイパーインフレに見舞われるとでもいうのだろうか。


 


 日本国内経済は長年続くデフレに悩まされてきた。つまり供給余力が需要を常に上回ってきた。今回の東日本大震災によって供給力が一部破壊されたことにより供給余力に伴うデフレ圧力が解消されるという「効果」を日本経済にもたらしている。


 大震災・津波被害を被った当初、一部エコノミストはインフレが始まる、と週刊誌などで騒いでいたが、3ヶ月余も経った今現在でもインフレに見舞われていない。


 


 日本経済よりも深刻なのは米国のドルだ。対外債務が今年3月には円換算で1京円を超えたといわれている。日本は大量の国債を発行しているといってもほとんどが国内金融市場で消化され、対外的には世界で最大の債権国だ。つまり財務省が騒いでいる国と地方で総額900兆円に達する財政赤字も、世界は日本の国内問題だとみている。


 


 米国は国債発行枠14兆3千億ドルを使い果たし、さらに増額をオバマは議会に求めたが与野党逆転している議会が否決した。8月までに増額が可決されなければ米国債の償還が出来なくなり、デフォルトが起こるのではないかと危惧されている。


 ただ日本が円発行を日本が発行株式の51%を所有する中央銀行が行っているのと違って、米国は米国債を連邦準備制度理事会(FRB)が引き受ける形で、その引き換え小口証券(無利子)としてFRBがドルを発行している。つまり日本が国家保証で円を発行しているのと違って、米国では連邦準備制度理事会という摩訶不思議な実質的にはロックフェラーやロスチャイルドなどの個人が株式を保有する銀行が支配するFRBがドルを発行しているのだ。


 


 つまり日本の方が米国より遥かに透明性の高い通貨システムを持ち、中央銀行の利益は国に還流する仕組みになっている。


 財務省が懸念する日本デフォルトが起こるのを心配するよりも、米ドルのデフォルトを心配する方が現実的だ。一つのシステムが永遠であることはあり得ない。建国以来米国の通貨を担ってきたFRBが永遠であることも有り得ず、特定の個人に米国の金融資本が自動的に集中する利権構造が永遠であるはずもない。


 


 財務省当局に問いたい。国民に財政健全化を強いるのも結構だが、中国と並ぶ米国債大量保有国の日本が米国に対して米国債の健全化を求めるのを忘れてはならないが、どのような手立てをしているのだろうか。中国はお人好しから大量の米国債を保有しているのではない。米国のアキレス腱を手にして、米国の元切り上げ圧力に対抗している。中国はプラザ合意で「円切り上げ」を呑まされた日本経済が塗炭の苦しみに喘いだのに学んでいるのだろう。


 


 日本はお人好しから米国債を大量保有しているのか、それとも米国債金利回りが優良な投資先と判断してのことなのか。日本の金融政策は国際政治にどのように生かされているのか、財務省が行っている財務の原資は国民の税と国民労働力と国民貯蓄による信用力であることを、再確認すべきではないだろうか。


 安易な増税見込みは官僚の改革意欲(今も皆無だが)が殺がれることになりかねない。このまま国債特例法案が通らなければ8月にも資金ショートするといわれている。しかしそれが本当か、菅氏の無能ぶりにかこつけてこのまま国債特例法案を店晒ししてみることだ。本当に国や地方が資金難に陥るのか、それとも財務省が何処かからカネを調達してくるか、見ていれば良い。


 本当に資金ショートして公務員給与が支払い遅延すると、やっと彼らも改革すべきだと目覚めるかもしれない。考えようによっては国民は絶好の機会を目の前にしているのかもしれない。



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