この国の政治家は日本の未来を考えているのか。

 2010年の日本の人口は総死者数から総出生数を引くと12万5700人となり、初めて10万人を超えた。年間の死亡数が出生数を上回る「自然減」となったのは4年連続だ。昨年は特殊出生率がやや改善されたが、それでも1.39と人口減が止まるとされる2.01を遥かに下回っている。


 


 人口減の社会で生じる問題は解決不能の状態に陥る可能性が高い。いつまでも毎年対前年比較で人口が減り続ける状態では「保険型」の年金や医療の財源不足は永遠に解決しない。人口減少社会を前提として抜本的解決を目指すなら、社会保障は「保険型」ではなく「税型」に切り替えるべきだ。


 


 そもそも国家による第一義的使命は国民の命と財産の保全だ。そのために徴税権や軍事権を国家に委ねている。保険によって国民の社会保障を手当するのは国家による国民の生命と財産を保全する役目を放棄しているのに等しい。税によって社会保障を実施すべきが基本であって、保険はその補完でしかないはずだ。


 


 本末転倒の話が基本的なところで行われているのではないだろうか。国民も大手マスコミが官僚の広報紙となって官僚の都合しか報じないから、それが常識なのかと勘違いしている。公務員の共済年金は個人負担1に対して税より2の割合で負担している。だから共済年金は高額支給で当たり前なのだ、という議論はおかしくないだろうか。


 厚生年金は個人負担1に対して企業が1ほど納付しているが、その負担に耐えられないから正社員を廃止して、非正規や派遣に切り替えている。そして国民年金の個人負担に対して国庫からの負担はまったくない。だから国民年金は満額支給でも月額6万7千円で暮らさなければならないとされている。


 


 トンチンカンな議論をさも高尚な議論でもあるかのように官僚は説明するが、なんでもないことだ。共済年金の個人負担1に対して税による負担を1として、従前の1を国民年金に付け替えて、個人負担1に対して国民年金も公から1ほど付け足せば、各年金もそれほど大きな格差はなくなる。それがマトモな議論であって、公務員だけ個人負担1に対して税による負担を2ほど付け足して、そのことには口を噤んで黙っていよう、という官僚の態度を独善的といわずしてなんというべきだろうか。


 


 子供手当を廃止して、特殊出生率改善策をどうするつもりだろうか。未来の国民の問題は現官僚の問題ではないとでもいうのだろうか。政治家も自分たちの任期の間だけこのまま日本が存続すれば良とし、数十年後の社会は全く視野にないとでもいうのだろうか。


 この国の基本的な維持・管理コストを試算してみると良いだろう。そうすれば人口減社会の国庫総収入額が社会インフラの維持・管理費を下回る時代が早晩やってくる。そうするとこの国は基本から壊れるしかなくなってしまうのだ。そうしたことを想像できない政治家は未来に対して無責任の誹りを免れない。2010年に人口12万人の市が一つ日本から無くなったという現実を噛みしめなければならない。



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