原発の危険性は地球規模だ。
日常的な放射能被爆の恐怖や放射性廃棄物の垂れ流しに目を瞑る限り、原発は発電事業者にとって「儲け」の多い発電装置なのだろう。しかし一旦事故が起こると放射能被害が世界人類規模に及ぶ壮絶な結果を招く。
国民に原発の負の部分を広報したくないのは原発立地へ舵を切った国にとって当然の心理だろう。それに対して日本政府と東電の福島第一原発事故への対応のもたつきぶりは不都合な情報に違いない。しかし事故の経緯そのものが原発の危険性だ。
原発事故は放射能被害をもたらすが、その被害範囲と規模と被害消滅までの歳月とすべてにわたって人類の小さな存在を超越した地球規模だ。原子力とはそうしたものだ、という認識もなく「安価で安定した安全」な発電装置だと思い込んだ政府により、国民にもそう思い込ませるための宣伝を大々的に行い、原発を推進してきた責任は重大だ。
事故が起こるまでは安全だ、というのなら話にならない。政府は何かと理由をつけて浜岡原発を止めないつもりのようだ。耐震性能を上げて12mの津波にも耐えうる防潮堤を造るという。事ここに到っても小賢しい人智で地球規模の災害を防ごうとして言辞を弄するとは懲りない人たちだと思わざるを得ない。
起こりうる直下型マグニチュード7程度の振動に原発の装置そのものもしかりだが、付帯する施設のすべてが耐えられるのだろうか。福島原発では地震により原発そのものにもかなりのダメージがあったことも判明しているし、外部電力の送電線が電柱の倒壊により断線していたことも判明している。
自然エネルギーの発電に占める割合は1%程度だから今後も当てにならない、と大手マスコミはテレビなども総動員して宣伝しているが、ドイツではその方向へ大きく舵を切った。ある評論家は太陽光発電はパネルを製造するのに大量のCO2を排出すると批判しているが、それは原発でもウラン濃縮の段階では同じことだ。的外れな批判はやらないことだ。
日本は地域の特性を生かして自然エネルギー発電に真剣に取り組むべきだ。温泉地域は地熱発電を瀬戸内や九州四国地域は太陽光発電を、季節風の強い地域は風力発電をと地域の特性を生かすべきだろう。自然エネルギーへ本気でシフトすれば原発の代替を上回る規模になるのにそれほど時間はかからない。これほど安全なものはないし、子々孫々に残しておきたい考え方ではないだろうか。