法治国家たる法の公正・公平な適用を望む。

 戦後、この国の司法当局は時々の政局に大きくかかわる極端に政治的な動きをしてきた。現在検審起訴に及んでいる小沢氏の件のように、検察特捜部の捜査情報リークと大手マスコミの大本営発表よろしく国民へ無批判に垂れ流して検察当局の意のままに動くといった世論操作の実態がある。それは法治国家としてあってはならない異常な事態で、法学者や学会が声を上げないのを訝しく思っている。


 


 小沢氏の一件はついに「検審会起訴」という学者によって憲法違反の提起すら起こる怪しげな手段を講じて法廷へと持ち込まれている。実際法廷で争うのが妥当なものなのか、裁判で「白黒つけてもらう」といった低次元居酒屋の口喧嘩程度の動機で起訴することが「疑わしきは被告人の利益」とする刑事訴訟法の精神との整合性をどのように司法当局は考えているのだろうか。「バカなことをするな、大人げない」と窘めるのが最高裁の立場のはずだが、それも含めて地方裁判所で決めろ、と最高裁判所の役割を放擲してしまった。


 


 菅氏の「外国人の献金」は明快に政治資金規正法に定めてある法律違反事項だ。「彼が外国人とは知らなかった」とか「すでに返金した」というのは釈明にならない。小沢氏の件は総務省で「期のいずれかを問わず、不動産取得が記載されていれば問題はない」との見解を表明している。つまり不動産取得日をいずれとするかの「取得期日の規定」が政治資金規正法にないからだ。


 しかし菅氏の「外国人からの献金」は禁止事項だ。しかも菅氏は外国人と数回にわたって会食やゴルフなどをする親しい間柄だったことも判明している。法の適用に関して「知らなかった」は通用しない。


 


 国民は法の下に平等と憲法に定めている。小沢氏の検審起訴に到るまでの過程は著しく「法の下の平等」原則に反している事実が存在する。違法献金ではなかったとして起訴事実から外された「西松建設献金疑惑」に該当したのは小沢氏だけではなかった。しかし自民党国会議員は全く御咎めなしに終わっている。記載の期ズレ程度の政治資金記載の「虚偽記載」は多くの議員が犯している。試に国会議員の政治資金収支報告書をすべて詳細に検証したらよい。ゾクゾクと出てくるはずだ。


 しかし外国人からの違法献金は同程度の「軽微なもの」とはいえない。つまり会計処理のミスと交誼を結んだ相手の身体検査をしなかったというのは政治家として決定的だ。たとえば相手が指定暴力団の関係者だったらどうなるのだろうか。たとえば相手が公共事業を手掛ける会社の代表者だったら個人献金は法で禁止されている。つまり献金してくれた相手が外国人とは知らなかった、という程度の認識なら、菅氏に対するすべての献金者の身元を調査しなければならないことになりはしないだろうか。


 


 政治家は世論に敏感でなければならないが、世論に流されてはならない。小沢氏に批判的な大手マスコミに敏感でなければならないが、その意図が何なのかを見抜く慧眼も兼ね備えなければならない。世論に迎合してワアーワアーと騒ぐだけならテレビの御用コメンテータを政治家にすれば良い。


 法治国家を法治国家たらしめるのは、残念ながら司法当局ではない。日本では大手マスコミすら官僚の広報機関に成り下がっている現状に鑑みると、法治国家たらしめるのは法学者の発する警鐘でなければならないが、法学者も狸寝入りを決め込んでいる。そうすれば我々ネット世論でしかないのだと覚悟を新たにしなければならないだろう。



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