「子供手当」は本当にばら撒きなのか。

 どうやら菅氏は災害復興補正予算の成立と引き換えに「子供手当」廃止を野党と約束したようだ。今年の6月をもって「子供手当」は廃止となり、先行した扶養手当廃止などによる所得税増税部分だけが残ることになる。


 


 議連もなければ族議員もいないのが「子供手当」だ。もちろん圧力団体となる「業界団体」もない。しいていえばこれからの日本を担う子供たちが「権利者」だが、彼らには選挙権がない。少子化社会に未来はあるのか、という問いかけは未来の問題だ、と思っていて良いのは現在の60歳以上の大人たちだけだ。


 若い世代は覚悟した方が良い。前年比人口減が毎年続くのが少子化社会だ。少人数の現役世代で高齢者を支える、というマヤカシの年金保険制度を高齢者福祉の根幹に据える限り、対前年比で保険金の掛け金が不足する事態は永遠に続くのだ。現在の基金部分の積立金150兆円は災害復興の一時立替金として「別途使用」が解禁とされた。これから同様にして次々と年金基金は取り崩されると覚悟した方が良いだろう。


 


 なぜ1回きりの特別な調達に年金基金を使ったのだろう。なぜ特会の緊急性のない積立金を使わなかったのだろうか。たとえば労働保険会計には緊急性のない積立金が6.5兆円もある。特会のカネは自分たちのものだと勘違いした官僚が「私の仕事館」や「スパウザ〇〇」といったリゾートホテルまがいの施設を各地に作ったアノ特会だ。


 しかし官僚たちは嵐が頭の上を過ぎ去るのを待って、自分たちの自由になる財布を確保しておこうとして、決して表に出さない。しかも労働保険には議員の応援団もいれば官僚の強固な防衛スクラムもある。


 


 菅氏は民主党の民主党たる政策を反故にし、未来の国民に大きな「負担」を残す「子供手当」廃止を選択したというのなら、民主党の中で09年政権交代の意義を真摯に考える議員は立ち上がらなければならない。


 税を官僚に任せて一定の官僚機構の下に水が高い所から低い所へ流れるように、カネを国から地方へ流す過程で各種団体を潤して行くように仕組むのが官僚の得意技である制度事業だ。


 「田越の水」という言葉をご存知だろうか。灌漑用水路を造らず、上の段の田を潤した水を畔の一部を切り開いて下の段の田の灌漑用水として使い、さらに下の段へと流す灌漑用水を「田越の水」という。制度事業とはまさしく「田越の水」に国民の税を使うということだ。それぞれの田は省庁に群がるあまたの各種団体で、最終的に川へ排出される水こそが国民に給付される役務や給付金の部分となる。


 


 しかし「子供手当」は直接支給のため潤すべき官僚の田もなければ長々とした灌漑用水路もない。それが官僚の気に食わないのだ。同程度の国防予算にどれほどの「国防御用達企業」が群がり、どれほどの「専門家」と称する学者や評論家が群がり、どれほどの官僚や企業がこれまで「利権構造の癒着」で摘発されたか、ご存知だろう。そうした「利権構造」が「子供手当」には存在しない。だから官僚は「子供手当」などが出来ては困るし、大手マスコミを煽って「子供手当」廃止の大合唱を煽るのだ。


 若い子育て世代の有権者よ、本当に「子供手当」を廃止しても良いのか声を上げなければならない時だ。今偶々テレビで子育てとは無縁になったと思われるイワミ氏がミノ氏の司会する番組で「子供手当はばら撒きだ」とのたまっている。彼らは自分たちが死後の日本に責任を取らない人たちだ。人口減社会の問題に解決策はない。すべてを諦めるだけにならざるを得ない。ちょっと想像してみるだけで分かることだ。


 


 ETC割引もこのゴールデンウイークが最後になるという。民主党は自民党政権以上に官僚丸投げ・抱き付き政権だ。ETC割引は自民党麻生政権が始めたものだった。官僚はそれでもETC管理団体という「田越の水」が自分たちの離れを潤すからそれほど文句は言わなかった。


 これで高速道路利権は永遠に続くことになる。官僚たちは安泰だ。本社を赤字にしておけばドンドン税が会社へ垂れ流される。子会社や孫会社は丸々太ってわが世の春を謳歌できる。官僚万々歳の日本社会は国民がいかに疲弊しようと、将来が真っ暗になろうと、知ったことではないのだ。


 本当に国民はこれで良いのだろうか。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。