09年衆議院選を違憲状態と判定したが、

 最高裁は09年衆議院選で議員1人当り有権者数の格差が最大で2.30倍になったとして違憲状態であるとした。小選挙区制導入後に2.47倍でも合憲判断をしていたが、今度は一人別枠方式の制度そのものの合理性を否定し、2.30倍でも違憲状態として選挙制度の抜本的改定を国会に迫っている。


 


 憲法の投票価値の平等の要求に反する方式は速やかに改定すべきとして、次回選挙までに改定されない場合は「違憲」とされ選挙が無効にされる可能性があるとされている、という。


 これまでも投票価値の平等を求めて国政選挙があるごとに提訴され「違憲状態である」との最高裁判断が幾度となくなされてきた。


 


 絶えず都会へ人口集中が進み、地方の過疎化が進んでいる状況では今後もいかなる選挙制度を導入しようと、自治体区分が自然環境や歴史的要素からなされている限り一票の格差が解消することはない。では選挙区を人口割で自動的にコンピュータで平等性確保を第一要件として定めるとした場合はどうだろうか。確かに一票の平等は確保できるかもしれないが、地域代表という代議員制度の根幹を揺るがす事態になるだろう。


 


 単に人口割の平等を最優先すれば過疎地に暮らす人たちの意見は人口集中地域の都会部の意見に覆い尽くされて国政に反映されにくくなりはしないだろうか。地方を特別視しろとはいわないが、現在でも四国地方の議員数は比例も含めて12名で東京一都(選挙区25名、比例17名)に遠く及ばない事態になっている。しかも地方議員と称しているものの、実態は地方出身の先代が東京に居を構え、東京生まれ東京育ちの候補者が選挙の時だけ地方に帰って「地元の皆様」と声を張り上げているに過ぎない事例も多く見られる。


 


 地方議員には厳しくその自治体に住居する要件が求められているが、国会議員と首長にはそうした要件はない。それこそ是正すべきものではないだろうか。その地方で長年暮らした経験のない者がいきなり「地元の〇〇です」と声を張り上げるのには違和感を覚える。


 その反面、首長選挙で長年の東京暮らしから地元へ帰って立候補するのにもそれなりの利点も見られる。つまり地方を一度外部から客観的に見た経験は否定し難いものがあるだろう。


 


 そうしたことを勘案すると、小選挙区制度が最低でも都道府県の枠を超えて編成されることがない限り、職人的技を駆使していかに厳密に「一票の価値を平等」に定めてもたちまち『平等原則』は崩れるだろう。それなら最初から「一人割の平等」など求めていないことを宣言すべきだ。一票の価値とは有権者一人割の平等ではなく、「地域割り、地勢割、人口割、などを勘案した選挙区の代議員の価値が平等」といった選挙区固定制へ移行することしか抜本的な解決策はないだろう。例えば米国大統領選挙などの代議員の数など厳密な「一票の価値の平等」を求めていないようだ。


 


 最高裁も有権者数の小学生がやるような単純な算数的比較によって「違憲状態」との判決を易々と出さないことだ。それがいかに国政の権威を貶めているか、少しは自らの「違憲判断」の合理性について高次元な思考を付加してはいかがだろうか。



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