国産のOSを開発せよ。
何度も2014年危機をブログで発しているが、いかんせん影響力のなさには無力感を抱くしかない。しかし、それでも訴え続けるしかないのだ。
この国の多くの省庁から地方自治体まで基本OSにWinXPを使っている所が大半だ。つまり国や地方の情報管理の基本的な部分を米国の一企業に委ねている危うさを国民は認識しなければならない。
ある地方の独法(以前は「国立病院」と呼ばれていた)では未だに基本的には紙カルテを使っているが、医師によってはPCにカルテを取り込み、電子カルテ化している。
若い医師の涙ぐましい努力だが、その独法全体のOSはWim2000で動いていると断定せざるを得ない事態に直面して驚いた。既にWin2000は米国企業ではサポートを終了している。つまりバグの穴が開いても修繕しないと宣言しているのだ。
そうしたことはその独法病院の特異な出来事ではないようだ。つまり2000年当時に森内閣でe-Japan計画が持ち上がり、当初は東大助教授の開発した基本OSトロンが国に採用されるはずだった。しかし米国の強烈な巻き返しによりWindowsが採用され、全国に膨大な数のWin98やWin2000が組み込まれたPCが学校や官公庁に配布された。森内閣がこの国と国民になにをしたのか、今後長くこの国の情報管理史で語り継がれることだろう。
しかし再び米国の一企業は2014年にWin XPのサポートを打ち切ると宣言した。現在のサポート期間中でもXPは世界のハッカーによって破られている。実に情報管理として脆弱な基本OSだといわざるを得ない。それがサポートを打ち切られれば新たなハッカーにとってサイバーテロを仕掛ける最善の好機が到来すると手薬煉を挽いて待っていることだろう。
日本全国の地方自治体と中央省庁は2014年に膨大な予算を投じてWin7へ移管し、さらにマイクロソフトの経営戦略に隷属して新しいOSへと移管し続けて膨大な予算を投じ続けるつもりだろうか。そろそろ新たな情報戦略を日本は国家として打ち立てる時期に来ているのではないだろうか。
国はクラウドコンピュータへの移行も含めて、新たな国家情報戦略を開始すべきだ。日本独自の基本OSを開発すべきだ。いつまで米国の一企業の商売と付き合ってOSを更新していて国家戦略をどうするというのだろうか。
企業でも無料のLinuxを使う所が増えてきたという。試しに古いPCにUbuntu10.10を入れてみたが、WinXPとそれほど遜色はない。ただ事務処理に必須のオープンオフィスにマイクロソフトオフィスと比べて見劣りする箇所が散見される。たとえば再変換機能がないとか、日本語辞書の未熟とかは否めない。しかし日常的なレター程度に使うのなら問題はないし、それらが無料で使えるというのは驚異的だ。
日本の知能をもってすれば、日本語に相応しい基本OSは開発できるだろうし、それを無料として世界に開放することにより情報産業での日本の優位性を確保できるのではないだろうか。
中国はすでに独自の基本OS開発に乗り出している。世界に冠たる国へ脱皮するには情報の基本を米国の一企業に握られていては話にならないのはいうまでもないだろう。
人間は空気中の酸素を呼吸で取り入れて生きている。PCでその酸素に該当するのが基本OSだ。当然無料なのが常識だと思うが、マイクロソフトは有料とすることによって巨万の富を築いた。今後とも定期的に基本OSを更新することによって富を手に入れ続けようとしている。
トロンを開発した東大の助教授は無料のフリーとしていた。彼の見解は現在の世界を見通していた。基本OSはPCの酸素だ。それを有料にしてはPCが自由に呼吸できなくなる。
何も米国との対立関係を煽るつもりはないが、日本が独立国家として情報管理を国家で行う場合、その基本OSがWin7では長期的な運用は出来ないことになる。すでに32bitと64bitとでHDDの壁が2TBで存在することが判明している。64bitへ移行する時に使えなくなるソフトが出てくることを予測し、備えなければならない。
国家が本気で情報に対して意識しなければならない時代に世界は突入している。日本だけが紙の資料を持ち歩いていて済む時代ではなくなっている。そのことを政治家は十分に認識すべきだ。