「官僚なんて馬鹿ですよ」と言っていたのは何処の誰だ。

 菅政権の体たらくぶりには呆れ果てて言葉もない。官僚内閣制に逆戻りした上に官僚を持ち上げてみせた。民主党の掲げた政治主導の完全敗北だ。


 


 本来ならば政治家が国の進むべき大枠の方向や、個別的な政策の概要を提起して、官僚がその肉付けや関連省庁との折衝などを受け持つはずだった。政治家と官僚との関わりはそうあるべきだったが、大臣に任じられて「これから勉強します」などと就任の弁で述べる程度の能力しかない政治家までもトコロテンで当選年次順に大臣にしていたからついに政治を官僚に丸投げせざるを得なくなった。


 


 だが良く考えて戴きたい。そうした能力のない政治家を政治家たらしめているのは有権者だ。つまり有権者が飛んでもない人物を国会議員に選出しているという現実がある。世上「政治家のレベルは有権者のレベルを超えない」といわれている。官僚丸投げの政治へ菅政権が舵を切ったことは脱小沢を唱える政治家たちは無能で、政治を官僚に丸投げしなければならない程度だと公式に宣言したに等しい。それを大して問題視しない大手マスコミも政治・政策や司法関連の情報は官僚頼りだ。


 


 かくして無駄の排除で十数兆円のマニフェストによる上乗せ分を叩きだす、としていた無駄削減はおざなりな事業仕訳を行っても3兆円前後で終わりとなってしまった。後は増税と社会保険料値上げが政治日程に上り始めた。国民に対する裏切りを菅政権はやろうとしているが、どのようなしっぺ返しが来るか覚悟しているのだろうか。


 


 それでも菅政権が強気なのは官僚の広報紙と化した大手マスコミが税制・社会保険改革を一体のものとして断行せよ、と菅政権を応援しているからだ。だから菅政権は「増税を提起する内閣は果敢に課題に取り組む勇敢な内閣だ」と勘違いしているのだ。菅政権は国民の支持よりも大手マスコミの支持を取り付ける方が大事だと思っているようだ。鳩山内閣が「最低でも県外」を執拗に大手マスコミに突っ込まれて退陣した恐怖が当時副総理だった菅氏にはトラウマとして残っているのだろう。


 


 バカバカしい限りだ。「最低でも県外」は正しい政策で、事実辺野古沖へ移設できないのは明々白々だが、菅氏は国民と沖縄県民を米国の機嫌を取り持つために誤魔化している。そして誤魔化し政策に過ぎない「辺野古沖移設日米合意」を大手マスコミは約束事のように叩かない。


 米国に睨まれたら政権が持たない、と菅氏は学習したようだ。なんという日本のトップリーダーだろうか。そして政治主導までもあっさりと反故にしてしまった。それなら政権素人の民主党に政府を委ねる必要はなかった。


 


 官僚内閣制の政府なら自民党のままで良かった。少なくとも尖閣諸島問題で演じた素人のような外交失態や、八ッ場ダムのように朝令暮改の国内政治の迷走もなかっただろう。しかしダム事業を完遂した暁には東京都民には是非ともその水を飲んでもらいたい。上流で薬品投与により強制的に中和している水が健康被害をもたらさないかの検証もなく、闇雲に都知事がダム工事の完遂を望んだのだ。結果として総額3000億円を超える高額なダムからもたらされる貴重な水なのだ、利用しないで海へ捨てることがゆめゆめあってはならない。


 


 八ッ場ダムで見られるように一度手を付けた公共事業を官僚は決して見直さないが、政治主導なら公共事業を見直すことが可能だった。しかしそうした公共事業の費用対効果や必要性の検証すら放棄しようとしているようだ。


 さらに公務員改革も、これで不可能になった。政治を官僚に丸投げしていて公務員改革をすることは出来ない。そして増税と国民負担増、年金の支給開始時期の先延ばしと暗い話ばかりが現実のものとなってきた。これで菅政権に何を期待せよというのだろうか。一日も早い退陣を望むしかなく、民主党が民主党らしい政権を打ち立てないのなら「勝手に国民の信を失って消滅すれば良い」としか言いようがない。



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