貧困・増税政策は社会不安を招く。
菅氏の目指す政策は極めて危険だという意味で、上掲の論文に賛同するが、チェニジア化するかどうかについては異論がある。しかしいずれにせよ国家財政だけが健全化して国民経済が疲弊する、という構図は国民から政治が無策との誹りを受けるだろう。少なくとも政治が自分たちのものでない、官僚による官僚のための政治だと誰もが不満を漏らすに違いない。すると社会の公的な部分に対して帰属意識や貢献が後退し、社会不安が増大するのは間違いないだろう。
この国は米国の言いなりに金融政策を実施してきた。米国が国内景気回復を目指しドルをタレ流すが円は通貨規律を守ってくれと言われてその通りにしてきた。
事実リーマンショック以後の通貨量の動向をみるとユーロは約三倍に膨らみ、ドルも二倍を超えている。それに対して円の通貨量はほとんど変動していない。これでは円高になるのは当然で、日本だけが国際貿易で割を食っている。
中国は依然として元切り上げを拒否していて実勢の半値ではないかと言われている。韓国のウォンも輸出攻勢をかけるために安く設定されたままだ。そうした国々と日本は渡り合っているのだから企業収益と国内景気回復が困難な状況にあるのは当然だ。それでもさらにオバマはドルを10兆円単位で増刷すると明言している。ユーロもギリシヤ破綻が他の国へ波及しないように必死で通貨政策を実施しているから今後も増刷するのは間違いないだろう。
去年の秋にこのブログで日本通貨当局も100兆円程度円をタレ流せと書いた。その通りに実施していれば今頃は景気が劇的に回復して新卒者の就職難はなかっただろう。日本政府と通貨当局は誰のために存在しているのだろうか。もちろん国際協調が大切なのは論を俟たないが、米国の国内景気を良くするためにほとんど世界基軸通貨としての責任を放棄したかのようなドル垂れ流しに国際協調もあったものではないだろう。
そして今回の胡錦濤訪米に対してオバマが示した歓待ぶりは何だろうか。長年米国経済を支えてきたのは日本だし中国に対してもODAや借款でテイクオフを手助けし未だにODA援助をしているのは日本だけだ。
そろそろ日本は人の良い金満家をやめよう。中国のように世界第二位の経済を誇る国になっても国連負担金をケチる中国を見習おう。そして文句だけは人の二倍以上もがなり立てる国になろう。
日本政府と官僚は米国や中国に対して良い顔をして国民に酷いことをする政策は直ちにやめるべきだ。どの企業でも赤字になれば人件費や経費を削除し、赤字部門から撤退縮小するものだ。ただし「税」を徴収する一義的な使命は国民の生命と財産を守るためだ。断じて「保険」で医療や介護を守るのが本筋ではない。国民は議論を本筋へ戻すように声を上げよう。
この国は財政が大変だと国民を煽りながら国家予算は一向に縮小しない。バカげた特会は存続し、各種外郭団体は一向に廃止されない。看板を付け替えただけの独法や指定管理団体は未だに官僚の天下り先だ。そして本庁の人件費を削ったというが、僅かに1.5%で国民にどの顔をして「削減した」と説明できるのだろうか。
官僚に自己改革が出来ない、そして自民党政権でも民主党政権でも改革が出来ないのなら、国民は国家破綻の道を選ぼう。国民にも痛みはあるが官僚には激痛となるだろう。肉を切らして骨を断つ覚悟を国民は固めようではないか。そして抱え込んでいる米国債をすべて放出しよう。米国に「都合の良い財布」は破綻したと宣言しよう。
金輪際改革なき増税は認めない、と国民は怒りの声をあげよう。