まず改革すべきは歳出で大きな比重を占める人件費だ。
企業は人なりといわれるが、同時に企業経営で最も頭を悩ますのが適正な人員配置だ。過小であれば生産に支障をきたすが、過剰であれば職場がだらけてしまうし無駄の温床となる。何しろ人員分だけロッカーや各種施設整備の規模が影響されるからだ。
社会学者や評論家には口を開けば「日本の公務員数は欧米諸国と比べて単位人口当たり非常に少ない」という人がいる。そうした発言をする評論家諸氏は比較する土俵を統一しているのか、と問いたい。
日本では国鉄は民営化され公務員でなくなった。郵便局も民営化され公務員から除外された。そして元々民間経営でなく公的負担によって賄われている各種インフラも民間企業として公務員の数に入っていない。たとえば他国では国営放送とされるNHKや、地域独占が保障されている電力各社や公団でなくなったといえども高速道路会社や独法化された国立大学や国立びょういん等々、さらには民間で新規参入が困難な「空港事業」なども公務員としてカウントされるべきだ。
そうしたタックスイーターか公的コントロール下にある団体は、すなわち公務員ではないだろうか。比較対象とする各国の公務員の算入基準と同一にしないで通称の公務員数だけで比較して我が国の公務員数が少ないというのは現実を知らない人の言葉だ。むしろ問題なのは公務員そのものでなく、そうした「隠れ公務員」のタックスイーター振りではないだろうか。
しかし、まずは公務員改革なくして増税議論をしてはならない。天下りは「国家的贈収賄・犯罪行為」だとして法整備して徹底的に「離れ」を叩き潰さなくては、いかなる公務員改革も表向きでおざなりなものになってしまうだろう。国民はそうした公務員の「特権」の存在を知っている。だから増税を提示するには公務員の特権をすべて剥奪し、国民と同一目線にしなければならない。
これほど公費天国になっている公務員の待遇にメスを入れないで平均年収426万円の国民勤労者に永田町の官僚たちの平均給与や公務員給与に準拠するNHKなどの職員の平均給与も1000万円を超えている現実をどのように説明するのだろうか。
菅氏よ、増税を目指すのならあなたには「説明責任」がある。そして消費税を社会福祉費に限定する目的税にする、というまやかしの文言は撤回すべきだ。現在の5%の消費税ですら当初は福祉目的税だとしていたが、国と地方とで分捕り合戦をしているだけではないか。
まず政府がすべきことは公務員改革を押し進め、ダニのような外郭団体や天下り公務員の撤廃を断行し、社会保障の各種「保険事業」と税との関係を明快にする改革を行った上で、増税議論をして欲しいと切望するのは国民の大勢だと認識して欲しい。くれぐれも住み慣れてきた官邸や永田町のヘンな常識に染まらないことだ。