財務省の作文を読んでいて党内民主主義はどうなっているのか。
まるで呆れるばかりの施政方針演説だ。
民主党は党名に「民主」とあるが、菅氏の視線から国民の生活は消えて、財務省官僚の顔ばかり見えているようだ。具体的な景気対策は何もないが、景気を良くして経済を改革するとか、財政を立て直す具体策は増税と社会保険の国民負担増と、年金支給開始時期の70歳への順延、という国民に痛みを押し付けるだけの財政政策だ。そんな政策なら小学生程度の頭脳があれば誰だって作れる。国民をあまり馬鹿にしないことだ。
通貨当局はリーマンショック以降も円をまったく増発していない。それに対してユーロは三倍程度、ドルでも二倍半近くも通貨発行量が増大している。だから円が高くなるのは当たり前で、増発すれば良いと誰もが思っているが、ドル安誘導を行う米国の顔色を気にして円通貨当局は増発に踏み切れないでいる。
円安へ動けば国内景気は簡単に回復する。だから中国が実勢の元と比べて半値だろうという経済評論家かいるほどの「元安」を断じて切り上げをしない。訪米中の中国主席が米国から「元切り上げ」を迫られても「ロッキード飛行機を百台単位で買うから」と言ってオバマを口先三寸であしらっている。
日本のテレビなどの家電製品が韓国と価格競争で敗れているのも「円高」が原因だ。国内景気の停滞は、実は通貨当局と財務省の政策によるところが大きい。たとえば国内価格16万円のテレビはドル換算で(1ドル80円なら)2000ドルだが円安となって1ドル160円ならドル換算で1000ドルだ。実勢といわれる1ドル110円程度の円安になれば価格競争で日本の輸出製品は負けないだろう。
円通貨当局は国内不景気による国民の苦しみはどうでも良くて、米国当局に睨まれる方が怖いのだろうか。
周回遅れの円高対策でも、やった方が良い。通貨当局はユーロやドルに負けないほど輪転機を早く回すことだ。通貨量を抑制して国内不況を続ける政策は一日も早く脱却することだ。景気が回復すれば法人税が倍以上に伸びて、増税議論は必要なくなる。そして「果敢に」とか「大胆に」とかいう修飾語は公務員改革の接頭辞として用いてもらいたい。税制改革にだけ「大胆」であってもらっては困るし、大胆であるのなら保険で対処している社会福祉事業を「税」で対処して各保険事業に山ほど群がっている各種団体を一掃することだ。
しかし財務省に魂を売ってしまった菅政権にないものねだりしても無理なことだろう。一日も早い退陣を望む。