宅建業法の運用はどうなっているのか。
業者登録した宅建業者は不正な取引により消費者に損害を与えた場合に国なり宅建協会なりがその業者に成り代わって消費者を救済する仕組みが用意してあるはずだ。そのために個人業者で200万円、法人業者なら1000万円を開業届の要件として供託しなければならないことになっている。
これまで大掛かりな宅建業者の事件に関して国なり協会などによる消費者救済措置が講じられたとの話を聞かないのはなぜだろうか。全国で何十万軒の宅建業者が開業しているか詳らかには知らないが、供託されている供託金総額が巨額に達するのは容易に想像できる。
廃業時に金利等は一切付与しないで供託金額だけを返還するのだから、供託金を国債金利で回していても毎年巨額な金利が溜まっているに違いない。よもや供託金は一切運用せずすべて国交省の大金庫に札束のまま置いてある、ということはないだろう。
それとも国交省の隠れた利権として使ってしまい、供託金残高はないから宅建業者に騙されて消費者が損害を被っても国も宅建協会なども口を閉ざして黙っているつもりなのだろうか。そしてヒューザー事件被害者救済と称して作った「瑕疵担保責任保険」のような新たな「利権」を消費者保護と称しているが、実はすべての新築家屋建築費用に上乗せして消費者が支払う仕組みになっている。なんのことはない、「消費者を守ります」というお為ごかしで一棟につき約7万円の損保保険料を強制的に消費者が支払わされているのだ。年間百万棟の新築家屋が建設されるとすれば700億円の損保利権がヒューザー騒動により生み出されたことになる。かくして官僚は太っていくのだ。
今回も大手マスコミが大騒動を繰り広げると、官僚は「消費者保護」と称して新しい制度を作り官僚を天下りさせるだろう。しかしヒューザーの時にも宅建業者が消費者に与えた損害は宅建業法に定められた制度として補償することになっていたはずだ。その保障制度が使われていないとすれば宅建業者が供託した保証金は何に使うためのものだろうか。
国交省の明確な説明を求めると同時に、屋上屋を重ねるような馬鹿げた制度を国会議員は作らないようにしっかりと勉強してもらいたい。少なくともテレビのバラエティー番組に出てシタリ顔で政局談義にうつつを抜かしている政治家は肝に銘じてほしいものだ。