無力感を覚える来年度予算案だ。

 民主党菅政権は国民の政権交代に込めた願いを理解していないようだ。国民は膨大な国債残高を抱えたまま一向に改革に乗り出さない官僚たちの尻を叩くために「生活が第一」とした改革を標榜した民主党に賭けたのだ。もっと具体的にいえば、小沢氏の率いる民主党に賭けたといっても過言ではない。


 


 小沢政権誕生前夜に検察の根拠に乏しい国策捜査により小沢氏は代表を降りざるを得ず、政権交代は果たしたが小沢政権は出来なかった。代わりに出現した民主党政権は国民の願った民主党政権とは似て非なるモノだった。


 


 鳩山政権を経て菅政権は自民党政権よりもさらに「官僚制内閣」の実態を国民の前に露わにしている。公務員給与を二割カットする、としていたマニフェストは反故となり、高速道路無料化は一番やってはいけない料金引き下げに終始している。「高速道路無料化」は高速道路にぶら下がる各種団体を根こそぎ解体させる最終手段だが、料金を徴収している限り高速道路利権は温存される。そうした議論もなしに無料化は高速通行量を増やしてCO2排出量を増やすだの、鉄道に悪影響を与えるだのと些末な議論ばかりしている。地方の町にとって生活道路となっている国道を大型トラックが爆走する方がいかに環境を悪化させ命を危険に晒すかという議論は皆無だ。それこそ幇間評論家が跋扈しているかの証拠だろう。


 


 一般会計以外にも厳然と存在する巨額な特会を全廃する約束だったが、特会事業のうち差し障りのないわずかな部分だけ取り上げて事業仕訳のセレモニーでお茶を濁して御仕舞では何のための政権交代だったのか、まったく効果がなかったと国民が失望するのも当然だ。あらゆる国への入金を歳入庁で一元管理して特会を許さない、という理念は何処へ行ったのだろうか。あらゆる仕組みを自民党政権時代のまま継続して、新たに民主党のマニフェストを積み上げればその分だけ予算規模が膨らむのは小学生でも分かる話だ。


 


 早くも評論家はこのような国債頼りの予算編成は今年が最後で、来年度は消費税率に言及しなければならないだろう、と発言している。現在の国にぶら下がる各種利権構造をそのままにすれば、という前提を置けばその通りだろう。国民はまず無駄を徹底して排除せよ、と民主党政権に求めた。自民党政権のように各種利権団体とがっぷり組んだ政権では改革は出来ないと踏んだからだ。しかし早くも岡田幹事長は「企業・団体献金を受け入れる」と自民党の後釜に座るつもりだと表明した。それなら政権交代した意味はない。


 


 民主党のマニフェストは小沢氏が代表の折に作ったものだ。小沢氏が首相に就任してマニフェストを遂行していれば民主党らしさが国民にも理解できたであろうが、小沢氏以外の者が首相になればこの有様だ。あっという間に官僚制内閣に逆戻りして民主党の旗をさっさと降ろしてしまった。つまり小沢氏を追い落とした連中の「民主党潰し」の意図は見事に的中したことになる。小沢氏さえいなくなれば民主党はこの程度の稚拙さだ。その民主党と自民党が巨大二政党である限り、戦後以来構築されてきた利権構造は守られ国民の貴重な税を貪っている連中は安泰だ。


 


 この時期になって急に菅氏が小沢氏に国会招致を求めて攻撃し始めたのは、ネット輿論が力を持ち始め、既存の大手マスコミが危機感を覚えだした裏返しではないだろうか。国民世論調査結果として発表している数字は全くの出鱈目で、大手マスコミはこの国の世論が大きく変化し始めているのを隠しているのかもしれない。そう思われる節はあちこちに現れている。その端的なものが広告宣伝費の総額でネットが既存のテレビ局の総額を抜いたといわれていることだ。大手マスコミ・メディアが危機感を覚え慌てふためいて新聞各紙がテレビ局を独占している状況を改革しようとする小沢氏を政権から排除するのも頷ける。それだけにネット市民は健全なネット輿論を高め、裾野を広くして国全体に広めなければならない。



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