社会保障費は税で賄うのが本筋だ。
名前に「〇〇保険」と付いているが、決していわゆる民間企業の生命保険などとは本質的に異なるのは明らかだ。つまり憲法に定める「文化的にして最低限の生活」を国民に営む権利を付与するのが国の社会保障政策のはずだ。
それが厚労省の利権を抱え込んだような「保険制度」の存続に議論を費やして世代間対立を煽り高齢者国民負担を強いるのは愚かそのものだ。高齢者だけでなく、様々な障害を抱えた社会的弱者を国で支えよう、というのが社会保障政策の本質だったはずだ。
国は本質的な話を始めるべきだ。ここまで行き詰ったのは厚労省の役人たちに任せっ切にしていたからだ。その間に各費目ごとに役人たちは自己増殖していた。失業保険会計がいつの間にか莫大な保険料を抱え込み様々な事業を勝手に始めて保険料の一部を食い潰した。
同じく年金会計も莫大な積立金を勝手に使えるようにして豪華にして採算制無視のレジャー施設を全国に建てた。すべて国民の財産を浪費して、テンとして恥じない連中だ。
すべての特会を廃止して国で一元管理し、税による運営をして国会議員が毎年審議対象にすべきだ。保険料名目による徴収は個人と企業に重くのしかかり、保険組合も青息吐息だ。しかし、国が税による手当をすれば、そうした団体の存続そのものも必要ないし現場で消費される前の役人による摘み食いはなくなる。そして膨大な数の役人が削減できるだろう。何重にも張り巡らされていた徴収機構は国税庁(先には歳入庁と改組すべきだが)に一元化され、国として国に入る金額総額が容易に把握できる。
もちろん、税は消費税を適用すべきで、運用に関しては充分に先進各国を参考にして制度設計をしなければならない。たとえば食料に関しては税率を半分にするとか、英知を結集して国民の暮らしを破壊しないようにしなければならない。ただし、消費税率は欧州諸国並みの20%近くになるのは覚悟しなければならない。だが、源泉徴収されている年金保険料や健康保険料はなくなる。企業も企業負担部分はなくなり、公的負担があるため正社員化をためらっていた障害が一つなくなることになる。
「歳入庁」に国への入金業務を一元化すれば摩訶不思議な「離れ」が大幅になくなり、当然電源開発費や空港整備費などの特会は廃止されてすべては一般会計として国会審議の俎上の上がることになる。それならハブ空港整備などの大胆な国際戦略や着陸料の国際比較で飛びぬけて高いものもハブ空港に限っては国際標準にすることも可能だ。国によるガバナンスが働くし、官僚の利権構造維持や族議員の暗躍は難しくなる。
すべて良いことばかりなのだが、この国は改革が進まない病理がある。官僚組織の強権化とそれに丸め込まれている大手マスコミの存在だ。いまだに食糧自給率報道ではカロリーベースを大手マスコミは依然として使い続けて、消費金額ベースでは67%で英国を抜き世界第5位の自給率を誇る我が国農業を自給率40%の危機的状況と煽る。それなのに米の供給過剰による減反政策で田を荒らしている食糧需給の矛盾には目を瞑っているのだ。
日本の大手マスコミは困った存在だ。為にする議論ばかり報道して「事実」をきちんと伝えない。小沢氏の疑惑捏造報道も酷いものだし、沖縄の辺野古沖移設は沖縄県民が「良」としない限り公有水面埋立は出来なく、したがって移設が出来ないのだから国はさっさと諦めて米国に正直に国内事情を伝えるのが正直だと思うが、大手マスコミの論調はそうではない。結論の通告の先送りを是認しているかのようだ。
大手マスコミの責任は甚大だ。この国の世論形成に大きな役割を果たしてきたのはテレビを牛耳る大手マスコミだ。責任をどのように感じているのか、大手マスコミの態度を見守り、適宜非を鳴らすしかないのだろうか。