やっと端緒についたようだ。

 公務員改革の本質はあらゆる特権を剥奪することだ。本来、公務員は公僕だったはずで、国民に奉仕すべき存在だった。その建前を根本的に覆して、公務員が生涯賃金でも民間企業の平均(平均統計資料に算入される一定規模以上の民間企業を対象としている)412万円をはるかに上回る報酬と、退職後の共済年金を得ている。この著しい不平等を手にしているだけでなく、各種外郭団体までも用意して、退職後の優雅な暮らしを満喫している。


 


 国民すべてがそうであるなら別段目くじらを立てることではない。国民すべてが平均月額30万円の年金を手にしているなら、共済年金に違和感を感じることはないだろう。しかし、そうした高額な年金は民間企業退職者の厚生年金では望むべくもないし、自営業者などの国民年金では生活保護費を下回る年金しか手に出来ない。こうした明らかな不平等を放置して、公務員の給与などの原資たる税収が不足しているから「増税論議を開始すべし」とする風潮に国民は抵抗感を覚える。


 


 民主党は公務員の労働組合・自治労の支援を受けているから公務員給与に踏み込むことは不可能だといわれてきた。実際に公務員給与の減額はマニフェストに謳った2割削減とは程遠い1.5%削減にとどまっている。


 平均給与で比較する限り、2割削減したところで民間企業の平均給与よりもはるかに高給だ。それでも「勧奨」出来ない人事院などはその機能を喪失していると断定せざるを得ない。本来、民間企業に準拠するとしていたのではなかっただろうか。それが今日の乖離を招いているのは人事院の怠慢以外の何ものでもない。即座に廃止し解体すべきだ。


 


 なぜこれほどまでも強硬論を展開するのか、と疑問を持たれる方々がいるかもしれないが、公務員給与は公務員給与の問題では終わらないからだ。実は世間では公務員給与に準拠した給与体系を採用している各種団体がゴマンとある。格好の例がNHKだ。NHK1万人の正規職員の平均給与は霞が関の国家公務員の平均給与に近い1150万円にもなっている。他にも公務員給与に準拠しているのは行政の外郭団体である〇〇協会や××社団法人などに多く見られる。こうした公的負担で運営されている多くの団体が民間企業労働者の平均給与よりも遥かに高給なのは問題ではないだろうか。


 


 人事院を廃止して公務員すべてに労働三権を与えれば良い。この場合、公安・警察などは別扱いとして労働三権を与えないとする議論は間違いだ。たとえ一ヶ所でも聖域を設ければ腐ったリンゴがたちまち他のリンゴを腐らせるように、聖域は無原則に拡大すると考えなければならないし、たちまち改革は骨抜きになるだろう。公務員はそうした骨抜きの名人だと、とことん用心しなければならない。


 労働三権を与えて、強盗を目の前にして「スト中だから追わない」と言う警察官がいれば、国民の非難は高まり彼らが率先して自重するだろう。格好の例が国鉄解体直前に実施された「スト権スト」にある。国民に不利益を与える行為に出れば彼らは存在意義を失う。消防署員が「スト中だから」として救急出動を拒否すれば彼らは非難を一身に浴びるだろう。


 


 あらゆる聖域を排除して、民間企業人を「経営者側」に入れるべきだが、ここでも官僚の各種審議会に顔を出す常連客のような提灯持ち企業人は排除すべきだ。評論家もそうした肩書きを次の活躍の場の踏み台にする野心家は排除すべきだ。大手マスコミが持ち上げる企業人も排除すべきだ。彼らの成功として喧伝されている輝かしい履歴は一面でしかない。大手マスコミの「切り取り」を全面的に信用するのは問題だ。郵政財産処分の競争入札で大手マスコミが持ち上げていた企業経営者たちが何をしていたか、直近の例を引くまでもないだろう。


 


 国民は絶えず自分たちの目で監視しなければならない。大手マスコミに監視役を委ねた結果が今の日本の姿だ。公務員給与などの大きな変革にはことさら監視を厳重に行うべきだ。さもなければ官僚は抜け目なく得意技の「焼け太り」をいかんなく発揮するだろう。



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