中国の困難な経済運営

  中国政府当局の発表では中国経済は毎年10%以上の経済成長とともに好調を続けていることになっている。しかしここにきて、政府当局の発表する数字の信頼性が揺らいでいる。それは数字そのものの信頼性とともに、中央政府が掌握していない地方政府の隠された地方債の存在が膨大な額に上って中国経済そのものに暗い影を落としているからだともいわれている。


 


 すでに中国政府もインフレ率が5%を越えて預金金利の2.5%の倍以上となり、マネーサプライが制御不能な事態に陥りつつあることを認めている。つまりインフレ率が預金金利を大幅に上回れば誰も手元資金を銀行に預けようとは思わない。むしろ投資企業が立ち止まればたちまち事業資金が実質目減りすることになるし、銀行から幾ら借金していても銀行金利よりもインフレ率が上回れば実質的にインフレが借金返済を肩代わりしてくれることになる。


 


 そうしたことから中国政府は物価統制を強めようとしているが大きく膨らんだ自由市場経済のマーケットを北朝鮮のように強制的に引き下げることはできないし、そうすればどのような事態が起こるか北朝鮮のデノミ後に巻き起こったハイパーインフレを見て学んでいる。そうすると中国政府ができることは株式市場や各物価に直接介入するのでなく、マネーサプライを減少させて通貨量で抑制するしかない。


 


 しかし投資家のみならず企業家はインフレにより実質的に返済額が減少する事態を受けて、銀行借り入れを増やし海外の安定した資産購入に走るのは当然の行為だ。それが国内のマネーサプライを増やし中国政府のインフレ抑制策を台無しにしている。中国政府の発表とは別に実質的に中国のインフレは30数%に達しているとの数字も取り沙汰されている。日本でいえばオイルショック直後の「狂乱物価」といわれた当時のインフレ状態にあるといえる。


 


 山口銀行などが一部業務停止とされたのも中国政府のマネーサプライ抑制策の本気度の現れだ。中国政府は貧困層の基準を2008年に定めていたものから25%引き揚げて年収1500元(1万8千円)としたが、経済学者の一部からは物価は2倍になったのに25%の引き上げは実情を反映していないとしている。実際に国連の定める貧困基準(一日1.25ドル)よりも低く、内陸部の平均サラリーマン所得が月額1万4千円に達している現状からも貧困層とされる基準はインドの貧困基準よりも低く、中国でも極貧・餓死寸前といえるが、それでも1億人を超えるといわれている。なお国連の基準で換算すると1億5千万人に達するとされているが、それですら中国政府の発表する統計資料の数字が正しいとした場合のことだ。


 


 政府は往々にして誤魔化す。日本政府も食料自給率を世界で韓国と日本だけしか使っていないカロリーベースを使って40%と危機感を煽っているが、コメが過剰だからと減反している現実には言及しない。大いなる矛盾が存在するのは炭水化物に偏るカロリーベースを採用しているからで、世界基準の消費金額ベース換算では自給率は67%となり英国を抜いて世界でも5番目の自給率を誇っている。こうした誤魔化しを平気で行う政府と、それを追認して恥じない大手マスコミに世論は形成され見せかけの「食糧危機」により農業政策が動くためいつもチンプンカンプンなのだ。農政がノー政の片棒を大手マスコミも担いでいる。


 


 世界のエコノミストにとって中国政府発表の統計数字の信頼性は低い。5%を超えた程度とされているインフレ率もエコノミストたちは30数%に達しているとみなしている。ここに到って中国政府は石油製品の価格を4%程度引き上げた。中国人による日本の土地購入熱もそうした中国国内事情の背景がある。中国へ進出している銀行はいつ何時、中国政府に業務停止命令を受けるか分からない事態に突入していることを肝に銘じておくことだ。


 


 



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